PROJECT
STORY
Project 02学校向けデジタル体験授業
DX人材の育成を目指し
教育現場を「授業」で支援
子どもたちに、
デジタル体験+DXマインドを学ぶ場を
「県民総DX」を掲げる山梨県では、未来を担う子どもたちに向けたデジタル教育の強化を図ろうとしていました。すでに県内の児童・生徒には一人一台のパソコンが配備されており、インフラの整備は万全。そこでソリューション営業部 山梨支店のメンバーは、こうした環境を生かしてデジタルを活用して自ら課題を解決するという「正解のない授業」を行い、デジタルを身近に感じる体験を通じて、子どもたちの創造性・自発性・協調性を育む機会を提供することを提案しました。
PROJECT MEMBERS
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セールス(法人) 仲西 哲志
2000年入社
ソリューション営業部
山梨支店 担当課長 -
セールス(法人) 保坂 里菜
2020年入社
ソリューション営業部
山梨支店 -
ソリューションエンジニア 高道 駿
2021年入社
ソリューション営業部
山梨支店
ROAD MAP
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1
事業参画
山梨県のDX・情報政策推進統括官や県教育委員会にヒアリングを行い、教育現場の課題を抽出。さらにDX教育に関する国策を分析した上で、教育ソリューションを提案。県から事業の委託が決まり、プロジェクトが本格始動。
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2
コンテンツ作成
子どもたちの学年別に授業のコンテンツを作成。主に小学生向けにプログラミング、高学年生と中学生向けにスマートグラス、高校生向けにメタバースの授業を計画。それと並行して実施学校の募集活動も行う。
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3
事前打ち合わせ
授業を実施する約30の学校をプロジェクトメンバーが巡り、各校の教職員に向けて授業の流れや使用するデジタル機器について説明を行う。実際に授業を行うために必要な環境等の認識をすり合わせる。
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4
授業運営
小中高合わせておよそ100コマの授業を運営。プロジェクトメンバーを中心に、山梨支店の社員たちが講師やサポート役を務めた。実施後は子どもたちから感謝の声が届くとともに、アンケートでは教職員の満足度100%という結果に。
PHASE 01事業参画
教育現場の課題に寄り添い、
地域が目指す未来にコミットする提案。
今やDXは経済活動にとどまらず、私たちの生活全般のテーマとなりつつある。そんな潮流のなか、山梨県は「県民総DX」を掲げ、さまざまな施策を行っていた。「県はDX人材の育成につながる学校教育の推進を目指していましたが、そこにはさまざまな課題がありました。私たちがコミットすることでその壁を乗り越え、地域の未来に貢献したいと考えたことが始まりです」。こう語るのは、プロジェクトマネージャーを務めた仲西だ。彼らはまず県のDX・情報政策推進統括官や教育委員会に赴き、課題をヒアリングした。そこで浮き彫りになったのは、人手不足や教育に求められるスキルの多様化といった問題。それを発端に、デジタルやICTを「どうやって使うか」ではなく、それらを使って「何を成し遂げるか」を考えるという、DXに必要なマインドを育む教育機会の不足だった。
プロジェクトの推進リーダーを担った保坂が語る。「子どもたちはデジタル端末の使い方に関してはすでに習熟が進んでいました。ただ、DXを実現するために必要なのは、正解のない課題に対して他者とともに取り組みながら新しい価値を生み出す力、いわばDXマインドです。デジタルスキルとマインドの双方を育む授業を教職員の方々だけで提供するには限界がありました」。
そこで、国が目指すデジタル学校教育の方針を把握した上で、課題解決の方法を検討した。提案のコンセプトは「創造性・自発性・協調性」を養う体験授業。ソリューションエンジニアの高道は提案段階から県関係者にデジタル機器を体験してもらい、共感を呼び起こすことに努めた。「教育委員会の方々にもデジタル機器の体験は好評でした。子どもたちが楽しみながらデジタルを身近に感じるきっかけをつくりつつ、体験に終わらず自ら考える機会を提供する。これを私たちのミッションとしました」。そんな提案が山梨県に受け入れられ、正式に事業の受託が決まった。
PHASE 02コンテンツ作成
目指すは、アトラクションに終わらず
アウトプットが生まれる体験授業。
事業受託から実施完了までの期間はわずか4ヶ月間。仲西率いるプロジェクトメンバーがまず取り組んだのは、コンテンツ作成だ。体験授業は子どもたちの学年別に主に3種類のコンテンツを設計した。小学生に向けては、ダンボールと電子回路を組み立てたロボット「embot」をプログラミングで自由に動かす授業。小学校高学年生と中学生向けには、スマートグラスとパソコンを組み合わせて楽しい謎解きに挑戦する授業。そして高校生向けには、バーチャル空間のデザインとVRゴーグルでそれを体験するメタバースの授業。これらのコンテンツ作成は高道ら若手が中心となって手掛けた。「協調性を育むことを狙い、授業はすべて、子どもたち同士がペアもしくはグループで協働して行う形式にしました。さらに、創造力やコミュニケーション能力の育成にもアプローチするために、デジタル機器をどんな場面で活用したいかといったアイデアを交換するディスカッションの時間を設けています」。
高道とともにコンテンツ作成を主導した保坂は、周囲からのアドバイスに助けられたと語る。「初めは小学2年生の子が理解できる内容がどの程度なのか想像できず、子育て中の社員に話を聞いて具体的なレベル感を掴んでいきました。そして何より、仲西さんからの『アトラクションに終わらせず、学びのアウトプットがある機会にしよう』という言葉が大きな指針になりました」。
コンテンツ作成と並行して、授業を実施する学校の募集活動にも取り組んだ。県内市町村の教育委員会を巡って今回の事業について説明を行い、参加学校を募ったのだ。仲西が当時を振り返る。「県内27の教育委員会を2週間で巡るのはなかなか大変でしたが、保坂さんが中心となって尽力した結果、非常に多くの学校から参加希望のご連絡をいただきました。人気がありすぎて今回は断念せざるを得なかった学校もあったほどで、このソリューションのニーズの大きさを実感しました」。
PHASE 03事前打ち合わせ
安心して授業に参加できる環境を
支店の社員一丸となって整える。
次に取り組んだのは、授業の実施に先立って各校と打ち合わせを行うことだった。保坂と高道を中心に約30の実施学校をすべて巡り、教職員の方々に説明を行った。高道が振り返る。「プログラミング、スマートグラス、メタバースは、どれも学校の先生方にはあまりなじみのない言葉。そのため、実機を用いて分かりやすく説明し、授業のイメージを具体的に持っていただけるよう努めました。また、当日の機器トラブルや通信環境の変化に対応できるよう電波環境の調査を行い、安心して参加いただける環境づくりを行いました」。
その一方で、保坂は次のように語った。「学校教育は年間で決まったカリキュラムのもとに運営されています。そのため、すでに出来上がったスケジュールのなかに今回の体験授業を組み込むのは一苦労。そこで県のDX推進部門から調整をお願いしてもらうなど、今回のプロジェクトでは非常にたくさんの方にご協力をいただきました」。
協力といえば自社メンバーの力も大きかったという。特に、授業実施のための人員確保では大きな支えを受けた。というのも、1回の授業実施に必要な人員は4名。プロジェクトメンバーだけではとても対応しきれない。そこで仲西は、山梨支店のトップに協力を訴えたのだ「そもそも山梨支店の事業方針は『地域貢献』。今回の事業はまさにその真ん中を行く企画です。だからこそ、支店メンバー全員で取り組むべきであることを支店長から発信してもらったんです。おかげで所属を問わず多くの社員の協力を得ることができました」。
PHASE 04授業運営
授業の成果を実感し、
教育ソリューションの拡大を目指す。
いよいよ実際の体験授業が始まると、保坂や高道は毎日のように講師として子どもたちの前に立った。「実際に授業を行うなかでカリキュラムの一部を変更するなど、子どもたちと向き合って気づく改善点もありました。忙しい日々でしたが、『楽しかった!』『また来てね!』という子どもたちの声に励まされ、先生方からも感謝の言葉や満足度100%というアンケート結果まで。本当に、心からやりがいを感じました」と、笑顔を見せる保坂。その言葉に頷きながら、高道が続けた。「スマートグラスやVRについて触れながら感想を伝えてくれる子どもたちの様子に、授業の成果を感じられてうれしかったです。僕たちが伝えたかったことを吸収してくれたんだなと。後日、子どもたちがデジタルツールで作った感謝の寄せ書きも届きました。こうしてデジタルを使いこなす様子を頼もしく感じます。寄せ書きは今も大切に山梨支店に飾ってありますよ」。
好評のうちにすべての授業が完了したが、プロジェクトはまだ終わりではない。こうしたデジタル体験学習を継続してほしいという多くの声を受け、その方法を模索中なのだ。保坂が語る。「例えば山梨支店の一部にデジタル授業体験スペースを設けるなど、私たちのリソースでできることを検討しています。もっと多くの学校に、さらには県外の学校にも、このデジタル教育ソリューションを提供していきたいです」。
今回のプロジェクトを通じて、子どもたちだけでなくメンバーの成長も実感したと語るのは仲西だ。「DXに必要となる創造性・自発性・協調性は、当社の社員にも求められる力です。メンバーがそれぞれに協力して試行錯誤するなかで、一人ひとりのスキルが着実に向上していることを実感しました」。最後に、未来についてこう語った。「私たちが提供する授業を体験した子どもたちが10年後にDX人材としてドコモグループに入社し、一緒に働けたら最高ですね。そんな未来を実現するためにも、この教育ソリューションを広げていきたいです」。
SPECIAL COLUMN
若手の高道さんに
聞いてみました!
若手ながらプロジェクトのコアメンバーとして期待されていたことは何でしょうか?
僕はこのプロジェクトの前に、とある学校法人向けに教育ソリューションを提供した経験があるんです。その時は体験がメインの内容でしたが、この時の知見を今回のプロジェクトに活かしてほしいという意向でアサインされたと思っています。とはいえ、今回のプロジェクトではまたゼロから授業コンテンツをつくることになりました。みんなで協力して新しいものをつくりあげていく、この挑戦の過程を楽しめるようになったことに僕自身の成長を感じます。
今回のプロジェクト以外ではどんなお仕事をしていますか?
携帯端末を管理するMDMというシステムや、ゼロトラストと呼ばれるセキュリティシステムなど、5Gソリューションを提供するプロジェクトに多く関わってきました。一例を挙げると、テレビ局のお客さまが映像情報をやり取りする際のシステム構築などです。
最後に、ドコモビジネスソリューションズで働く魅力を教えてください!
若手であろうと、お客さまのためになると思うことであれば自分の考えに沿って挑戦できることです。そのためであれば、ドコモやNTTコミュニケーションズなど自グループのサービス以外に手を広げてもOK。自分たちでパートナーを見つけてくるなど、状況に合わせてさまざまな組み合わせからソリューションを提案できるところが魅力的ですし、そんな環境で仕事ができることも楽しいです。