PROJECT
STORY
Project 03鉄道業務DX
電車を動かす現場を
ICTでエンパワーメント
タブレットから始まる
鉄道の未来へ、出発進行
人々の生活に欠かせないインフラの1つである「鉄道」。一般的に駅係員や乗務員の業務はまだまだアナログな部分が多く、昨今はDXを目指す例が少しずつ増えています。神奈川県を代表する私鉄の1社である京浜急行電鉄(以下:京急電鉄)も、まさにDXを意識し始めていました。電車を動かす現場の業務をデジタルの力で効率化し、従業員と乗客の双方にとって、より良い未来を実現する。そんなミッションのもとソリューション営業部 神奈川支店のメンバーは、タブレットの導入と関連するICTソリューションの提案に乗り出したのです。
PROJECT MEMBERS
-
ソリューションエンジニア 松崎 史晃
2016年入社
NTTコミュニケーションズ
ソリューションサービス部 -
セールス(法人) 坂井 佐和子
2002年入社
ソリューション営業部
神奈川支店 主査 -
セールス(法人) 明日見 比奈
2022年入社
ソリューション営業部
神奈川支店
ROAD MAP
-
1
ヒアリング・
提案窓口にあたる管理部門へのヒアリングにとどまらず、駅係員や乗務員の働く現場を見学し、そこで働く方々に実際に話を聞いて課題を深掘り。タブレットを起点とする複数のソリューションを提案。
-
2
手配/
システム構築およそ1,000台に及ぶタブレットの手配と設定を進めると同時に、端末管理システムを活用した利用環境構築を行う。並行してタブレット上で稼働させる自動放送アプリの導入支援を行う。
-
3
ソリューション
導入駅係員・乗務員合わせておよそ1,000台のタブレット端末を納品し、システムの稼働がスタート。
-
4
周辺ソリュー
ション提案ご利用サポートを継続しながらも、タブレットをさらに活用してもらうための周辺ソリューションを提案する。ペーパーレスアプリや GPS付きクラウドドライブレコーダーの導入を提案中。
PHASE 01ヒアリング・提案
現場の声をヒントに、
タブレット+複数のソリューションを提案。
プロジェクトの発端は、京急電鉄が抱える1つの悩み事にあった。かねてよりセールス担当を務めていた坂井に「車内放送を自動化するアプリを搭載するツールを提案してほしい」という相談があったのだ。「車内放送とは、駅に到着する際や出発の際に車掌が乗客に向けて放送されるアナウンスのこと。駅ごとに異なる内容を毎回アナウンスしており、他業務でも忙しい現場係員様の業務負荷の一因となっていたことから、すでに自動放送アプリの開発に着手されていました。そのアプリを搭載させるツールを探されていたのです」。こう語る坂井とともに、当時入社1年目だった明日見もセールス担当を務めることになった。「配属以来、坂井さんのすぐ側でアカウントマネージャーの業務を学ばせてもらいました。大きなお取引をいただいているお客さまということもあり、坂井さんと私の2名体制で窓口を務めたのです」。
坂井と明日見は、タブレットをすべての現場係員に活用してもらうことで、駅放送だけでなくさまざまな業務の効率化と乗客へのサービス向上を目指せると考えた。タブレットを起点としたソリューションを提案していくにあたり、チームに加わったのがソリューションエンジニアの松崎だ。「私はNTTコミュニケーションズの出身で、ドコモ系のプロジェクトに携わるのは初めてでした。今回はそれまでさまざまなお客さまのDXを推進してきたソリューションコンサルタントとして、知見を活かした提案を求められました」。
こうしてプロジェクトの主要メンバー3名が揃うと、改めて京急電鉄にヒアリングを行った。窓口である管理部門に話を聞かせてもらうだけでなく、実際に駅や電車のなかで係員がどのように業務を行っているかを見学し、現場の声を拾い集めることに努めた。その結果、自動放送アプリのほかにもタブレットのセキュリティ管理や、紙を使った業務を効率化したいといったニーズを発見。そこでモバイルデバイス管理システム(MDM)や、ペーパーレスアプリ、チャットツール等の複数のソリューションを提案することになった。そして、ソリューションの起点となるタブレットに関しては、坂井が中心となって専門部署の協力を仰ぎ、オリジナルの料金プランも提案した。
PHASE 02手配/システム構築
タブレット端末の手配と
周辺ソリューションの導入準備を進める。
提案は段階的に実現していくこととなり、まずはタブレットの導入に向けて動き出した。「導入前のデモンストレーションで一定期間、実際に係員の方々にタブレットを使っていただきました。すると、『両手を使える状態にしてほしい』といった声があがり、タブレットを首からかけられるケースを併せて提供することになりました。こうした部分でも、現場の声に耳を傾けることの大切さを再認識しましたね」と坂井。
こうして駅係員向けに130台、車掌や運転士といった乗務員向けに815台のタブレットの導入が決まり、明日見が中心となって端末の手配を進めていった。「およそ1,000台分の在庫を確保するのは一苦労。さらに、それらをお客さまが使用できる状態にセットアップする作業員の稼働を確保する必要もあり、一口にタブレットを納めるといってもその裏側にはたくさんの工程がありました。また、納品場所も各駅に分かれているので、どこの駅に何台送るのかを正確にロジスティクス部門に指示する必要があり、納品までのスケジュール管理はなかなか大変でした」。
タブレットの納品準備と並行して、松崎を中心としたエンジニアチームではドコモグループの『あんしんマネージャーNEXT』というMDMを活用した端末のカスタマイズ設定等を進めていた。「現場係員様の業務実態に合わせたセキュリティを担保しつつ、業務に必要なアプリ等だけを安心して利用いただくための設定も必要でした」。また、開発パートナーと連携して自動放送アプリの導入に向けた調整を進めていった。
PHASE 03ソリューション導入
目に見える成果として
働き方改革とサービス向上を実感。
最初のヒアリングからおよそ1年後の2023年10月、約1,000台のタブレット端末の納品が無事に完了した。あわせて、自動放送アプリの稼働もスタート。明日見はこの時の達成感をこう振り返った。「当時は京急線で通勤していたので、実際に駅係員さんがタブレットを使っている様子を見て胸が熱くなりました。係員さんの業務を効率化することで、乗客のケアやサービスに注力できることを目の当たりにした経験は忘れられません」と笑顔を見せる。
明日見をサポートしつつ、プロジェクト全体の進行管理を担った坂井はこう語る。「世間一般的に、タブレットといえばネットやカタログなどの情報を『見る』ためのツールにまだまだ留まっているように感じます。けれど、今回のプロジェクトのようにタブレットを『幅広く使う』ことで、お客さまの働き方を改革し、さらには経営改善にまでつながる大きな可能性を秘めているのです。こうしたソリューションを提供することで、多くのお客さまの未来に貢献していきたいと改めて感じました」。
二人の言葉に続けて松崎が語ったのは、グループの総合力を活かしたソリューションを提供できた喜びだ。「タブレット等のモバイル端末関連のソリューションに強く、それゆえに現場系のDXを得意とするドコモと、オフィス業務のネットワーク構築やDXで数多くの実績を築いてきたNTTコミュニケーションズ。今回のプロジェクトでは、両者の強みを掛け合わせたソリューションを提供できたと感じています。こうした案件に携われたことが個人的にすごくうれしいし、楽しかったですね」。
PHASE 04周辺ソリューション提案
さらなる提案を通じて
もっと安心・便利を目指していく。
タブレット導入後の現在は、その円滑な活用をサポートしながらも引き続き関連ソリューションの提案を行っている。紙を使っている業務を改革するペーパーレスアプリのほか、電車にクラウド型のドライブレコーダーを取り付けるソリューションを提案中だ。これは有事の際の迅速な対応を支援するほか、GPS機能がついているので車両の位置情報を正確に把握することにも役立つ。「坂井さんから教わったことですが、お客さまが実際に業務を行う『現場』への理解を深めることで、私たちの提案の幅は広がっていきます。例えば、AIと液晶を組み合わせて駅の窓口を無人化したり、車両とARを組み合わせて新しい観光の形を実現したりと、可能性は無限にあると感じています」と、目を輝かせる明日見。
そんな彼女の様子をうれしそうに見つめるのは坂井だ。「入社したばかりの頃から明日見さんを見てきたので、成長ぶりが本当にうれしい。頼れる後輩になってくれました」。
二人のやりとりにうなずきながら、松崎はチームの雰囲気について語った。「チャレンジングで行動派の明日見さんと、しっかり者でチーム全員に気を配るムードメーカーの坂井さん。二人のバランスが最高だったので、私たちはもちろん、お客さまも安心してプロジェクトを進められたのではないかと思います」。こうしてチームの一体感を大切にしながらお客さまのDXを推進し、その先にいる無数の人々の安心と便利の実現を目指していくという。
SPECIAL COLUMN
若手の明日見さんに
聞いてみました!
今回のプロジェクト以外ではどんなお仕事をしていますか?
鉄道業界や運輸系の企業様を担当するアカウントマネージャーとして、モバイルやタブレットの導入とDXソリューションのご提案を行っています。グループ丸ごと担当するので、不動産やホテルといったさまざまな業界のお客さまに関わっています。私はもともとB to Bの営業職を志望していて、お客さまのニーズに合わせて幅広い組み合わせから提案ができるドコモビジネスソリューションズに入社しましたが、想像以上に提案の幅が広いです。
プロジェクトを通じて、ご自身のどんな部分が成長したと感じますか?
私たちセールスは「売る」ことが仕事だと思っていましたが、このプロジェクトを経験したことで、「売るための調整」の方が重要だということを学びました。社内外のさまざまな関係者に協力してもらうことで、やっと自分たちの価値を発揮できるということが分かりました。経験豊かな坂井さんと松崎さんから学ぶこともたくさんありました。私の些細なアイデアや意見にも耳を傾けてくれるので、日々わくわくしながらプロジェクトを進められました。
最後に、ドコモビジネスソリューションズで働く魅力を教えてください!
温かい人に囲まれて働けることです。私のような若手も「こんなことに挑戦したい」と言えば、先輩たちがチャレンジを後押ししてくれて、具体的なアドバイスもくれるんです。誰かが成功すればみんなで祝福し、苦しそうな人がいたらみんなでカバーするのが当たり前の文化。NTTコミュニケーションズと統合されてからは新しい仲間も増えて、お互いの強みを持ち寄りチャレンジを応援し合う雰囲気がますます強まっていると感じます。