PROJECT
STORY
Project 05地域DX実証実験
デジタルの力でつくる、
ウェルビーイングな地域社会
富山発、全国を巻き込んだ地域DXムーヴ
「幸せ人口1,000万」をめざし、県民のウェルビーイング向上という成長戦略を掲げる富山県。ここでは、地域課題をデジタルソリューションで解決する事例を創出し、新たなビジネスモデルを構築しようとする取り組みが行われています。2021年に初めて同事業を提案・支援し、2022年に事業愛称「Digi-PoC TOYAMA(デジポックとやま)」として大規模な実証実験プロジェクトに発展してからも2年連続でその運営をサポートしたのが、ドコモビジネスソリューションズ 富山支店のメンバーでした。
PROJECT MEMBERS
-
セールス(法人) 小嵐 圭史
2000年入社
北陸支社
富山支店
担当課長 -
ソリューションエンジニア 中川 智裕
2005年入社
北陸支社
富山支店
主査 -
セールス(法人) 田中 優貴
2012年入社
北陸支社
富山支店
主査
ROAD MAP
-
1
提案・採択
人材交流をきっかけに県の各担当部門におけるDXのニーズを捉え、デジタルソリューション推進事業を提案。初年度はソリューションを提供する立場として採択され、2・3年目は「デジポックとやま」運営事務局の立場として採択。
-
2
アイデア公募
2年目以降は運営の立場でさまざまな課題のなかから実証実験を行うテーマを選定するとともに、課題解決アイデアを公募。特設サイトやイベントを通じたプロモーションを行い、全国の応募者から実証実験に参加するソリューション事業者の選定を支援。
-
3
実証実験の実施
約半年間、テーマごとに各事業者と実証実験を実施。課題解決アイデアのブラッシュアップや、実証の目的設定、実証におけるハードルをクリアするためのアドバイスなど、実証実験を円滑に進めるための伴走支援を行う。
-
4
社会実装支援
実証実験の結果を踏まえてビジネスモデルの調整を図り、各ソリューションを社会実装するためのアクションプランを具体化。成果報告会を実施し、結果として複数のソリューションが社会実装に至った。
PHASE 01提案・採択
富山県のDX事業を提案し、
3年連続で運営に携わる。
富山県とドコモビジネスソリューションズ(当時:NTTドコモ)は、かねてより互いの組織活性化のために人材交流を計画していた。これにより2021年に富山県庁へ出向したメンバーは、県庁内のさまざまな部門、あるいは関連する機関におけるDXの必要性を痛感。そこで事業化されたのがデジタルソリューション推進事業、のちの「デジポックとやま」の前身となる取り組みだ。富山県のアカウントマネージャーを務める田中と、そのチームリーダーである小嵐、そして、ソリューションエンジニアとしてチームを支える中川の3名は、事業初年度からその運営に携わってきた。
「さまざまな地域課題がありますが、ソリューションを起点に解決策を考えるのではなく、あくまでも本当に求められている課題解決をターゲットとすることが初めに決めた私たちのスタンスでした」。こう語るのは、プロジェクトマネージャーの役割を果たした田中だ。続いて、豊富な経験値から田中をサポートした小嵐が語る。「ドコモビジネスのアセットを最大限に活用し、さらに全国のソリューション提供事業者を巻き込んで、最終的には社会実装をゴールとした実証実験を行うことをめざしました」。
この提案が採択され、初年度にあたる2021年はドコモビジネスが課題解決のソリューションを提供する側として実証実験に参加。2年目以降の2022年・2023年には、「デジポックとやま」としてさらに規模を拡大したプロジェクトとなり、その運営事務局として同事業の推進に取り組んだ。
PHASE 02アイデア公募
ヒアリングを通じて課題テーマを決定し、
ソリューション提供事業者を募る。
実証実験を行うためには、まずテーマとする課題を決める必要がある。メンバーは県の担当部門や関連団体等にヒアリングを行い、課題と想定される解決策を洗い出していった。その数なんと30団体以上。田中が当時を振り返る。「何か課題はありますか?と問いかけるだけでは、なかなかヒアリングは充実しません。まずは自分たちで課題の仮説を立て、それをぶつけてディスカッションするなかで課題を明確にしていきました。粒度もさまざまな多くの課題が挙がりましたが、それを富山県とともに精査してテーマを決定する作業は難しかったですね」。
各テーマが決まったら、次は実証実験に参加するソリューション提供事業者の公募を実施する。富山県内に限らず全国の事業者に広くアイデアを募るため、プロモーションには特に注力した。ソリューションエンジニアである中川は、業務の枠を超えて初めてPR戦略の策定と実行に携わったという。「特設サイトの制作から広告展開、告知イベントの実施まで、マーケティングやクリエイティブを得意とするパートナー企業とともに取り組みました。努力の甲斐あって短期間で精度の高い情報発信の体制をつくることができ、たくさんの事業者からご応募いただくことができました」。一例として2022年は7つのテーマに対しておよそ60のアイデアが集まった。そのなかから採択する事業者を決定するために、採点基準等を設けるなど決定プロセスの構築も支援した。
PHASE 03実証実験の実施
スムーズに実証実験を進めるための
幅広いサポートを行う。
課題テーマとソリューション提供事業者のマッチングが整ったところで、いよいよ実証実験がスタートする。メンバーは各事業者のアイデアをブラッシュアップする支援とともに、実証実験の計画を具体化していった。小嵐が語る。「およそ半年間の期間を通じて、どんな協力者といつどこで実証を行い、どんなマイルストーンを設定するのか。そして、最終的には社会実装というゴールに向けて、どのようにビジネスモデルを構築するのか。県や事業者と連携して、この計画の詳細を詰めていきました」。
実証実験が始まると、当初の想定どおりに進まないケースも出てくる。そんな時のサポートを含む伴走支援もメンバーの重要なミッションだった。田中が語る。「どうすればボトルネックを解消できるかを事業者とともに考えたり、ドコモビジネスの知見やソリューションを活かしたアドバイスを送るなど、実証実験をスムーズに進めるための幅広い支援を行いました」。
実証実験の進捗具合は定期的な報告を通じて把握していたという。「初めはメールでやりとりしていましたが、情報のやり取りが煩雑になったことを反省し、2023年度はチャットツールを導入しました。事務局運営もデジタル化を図るなど、工夫を重ねていきました」と田中が語った。
PHASE 04社会実装支援
事業化のためのサポートを実施。
複数のソリューションが社会実装に成功。
実証実験が終了すると、その結果を踏まえて各ソリューションのビジネスモデルを修正。実際に県内のさまざまな場所でソリューションを導入してもらい、地域課題を解決するための具体的なアクションプランを描いていった。「どんなところにソリューションを販売してどのように事業を成り立たせるかというイメージをすでに明確に描いている事業者もいれば、まだ漠然としている事業者も。事業化を後押しするため、私たちからもビジネスモデルのアイデアを出すケースもありました」と田中は語った。
こうして情報を取りまとめ、「成果報告会」を開催。「会には県知事も参加してくださるなど、富山県がいかに本事業に期待してくださっているかを実感しました」と小嵐。実際にプロジェクトの成果として、いくつかのソリューションが本格的に稼働し始めている。それについて田中はうれしそうに語った。「県内の介護福祉の省人化に貢献するソリューションや、観光地の利便性向上のために画像認識カメラを活用して駐車場の満空情報を配信するサービスなど、複数のソリューションが実導入に至りました。こうして実を結ぶところまでサポートできたことをとてもうれしく感じています」。
今後は、地域課題解決の取り組みをさらに持続可能なものへと進化させていくことがプロジェクトメンバーの目標だ。
SPECIAL COLUMN
プロジェクトメンバーに
聞いてみました!
今回のプロジェクトを通じて学んだことや、ご自身の今後の展望を教えてください!
-
かなり規模の大きなプロジェクトだったので、マネジメントの立場として富山支店や北陸支社の人員リソース確保には苦労しました。最終的には本社のリソースも巻き込んで無事にプロジェクトを完遂できたことで、また1つ経験値が上がったように思います。入社から25年になりますが、今後も新しいことに挑戦しながら自分の範疇を決めずに成長していきたいです。
小嵐 -
今回のプロジェクトでは、技術の領域を超えてプロモーション領域にも携わることができました。この経験から、まだまだ新しいチャレンジの伸び代があることを実感できました。実際にPR業務を経験するなかで得られたノウハウがあるので、プロモーションを含めたソリューション等でお客さまに貢献できるよう精進していきたいです。
中川 -
全国初の取り組みであり、なおかつ大規模な案件に携われたことは非常に良い経験になりました。たくさんの人を巻き込み協働するスキルが磨かれたように感じます。今回得られた知見を活かし、今後は地域DXを加速させるための補助金の整備から、課題とソリューションのマッチングをより円滑に成功させるための仕組みづくりを引き続き富山県に提案していきたいと思います。
田中