複数拠点でブラックボックス化したPBXをクラウド化
自社のスピード感に合ったレイアウト変更を実現
導入の目的:業務効率化、働き方改革、DXなど

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株式会社ドコモビジネスソリューションズは全国のお客さまへ営業活動を行うNTTコミュニケーションズ株式会社のグループ会社です。
課題
別会社のPBX、モバイル端末、内線電話アプリケーションの利用により
管理が複雑で保守費用も高額に
株式会社MICは1986年設立。設立当初はガソリンスタンドを中心とした自動車関連会社に対するコンサルティングを主な事業としていたが、1993年には高収益モデルショップ直営プロジェクトをスタートさせる。その後、今では当たり前となったガソリンスタンドでの車検を開始したり、ガソリンスタンドを拠点とした地元密着型の「ニコニコレンタカー」を全国で運営したりするなど、常に先進的な取り組みを進めてきた。それゆえ組織図も流動的で、事業部の新設、統合などによるオフィスレイアウトの変更も頻繁に行われると同社取締役の射手園芽里氏は言う。

情報システム部 池谷弘稀氏

情報システム部 チームリーダー 佐藤卓弥氏

取締役 射手園芽里氏
「弊社の社風を一言で言うなら、『出る杭歓迎』です。イノベーションは斬新なアイディアから生まれるということで、たくさんのアイディアが出れば、その内1個くらいは当たるだろうという、失敗を恐れない社長の方針が根本にあります。現在展開している、ガソリンスタンドでの車検や、ニコニコレンタカー、オンライン新車販売事業もそうしたアイディアの1つです。また撤退の決断も早く、見込みがつかなかったら即撤退ということもあります。そのようなスピード感が弊社の強みである一方、あまりにもスピードが速いため、事業部の統廃合に伴う電話の入れ替えなどの作業については、非常に苦労している部分があると思います」
実際にオフィスレイアウトの変更に携わっている同社情報システム部の池谷弘稀氏に、レイアウト変更に伴う業務についてお聞きした。
「事務所のスペースだったところにいきなり会議室ができたり、会議室だったところが倉庫になるといったこともありました。それに伴い、アクセスポイントを追加したり、会議室用に電話を追加したりしなければなりません。すべてスピーディに対応しなければいけないところは大変ですが、非常にやりがいも感じています」
また、PBXのブラックボックス化や容量不足も課題となっていたと、同社情報システム部の佐藤卓弥氏は振り返る。
「会社の成長に伴って急激に社員が増加したこともあり、特に本社のPBXが容量限界に達していました。そのため、固定電話機が足りない、新規事業のための外線番号が確保できないなど、さまざまな問題が発生していました。また、外線電話番号の管理はExcelで行っていましたが、管理が非常に煩雑で、完全にブラックボックス化していました。そうした課題を解消するため設備改良のプロジェクトを進めていましたが、ちょうど同じタイミングで本社の移転が決まったため、思い切ってIP電話など、電話設備全体の更新をしてはどうかと、提案しました」
設備全体の更新となると一大事だが、即決断したところに、同社のスピード感と失敗を恐れない社風が表れているのだろう。
対策
「オフィスリンク®」を軸に、親和性の高い
PBX「Smart Cloud Phone®」「Arcstar IP Voice」を採用
今回の事案の窓口となった、ドコモビジネスソリューションズ神奈川支店の千葉牧子は語る。
「弊社のモバイル端末に乗り換えませんか、という提案をしたことがきっかけだったのですが、お話を伺う中で複数拠点にあるPBXのブラックボックス化でお困りだということが分かりましたので、まずはPBXのクラウド化が必須であると考えました。また、オフィスのレイアウト変更が頻繁に行われているというお話をお聞きして、将来的にモバイル運用をメインとしてフリーアドレス化や新店開設時にモバイルのみ拠点化を図れば、情報システム部の管理負担も軽減できると思いました。また、業務において固定電話が主体的な役割を担っているとお聞きしたので、できるだけ現状と大きく変わらない使い方ができ、現場でハレーションを生じないよう考慮しました」
千葉は、商材の選定についての解説を続ける。「電話主体の業務ということで、スマートフォンの内線化はアプリケーションではなく、ドコモの音声網を利用した『オフィスリンク®』がふさわしいのではないかと考えました。そこから、『オフィスリンク®
』と親和性の高いNTTコムウェアのクラウドPBX『Smart Cloud Phone®
』を選定し、3拠点を結ぶ提案を行いました。また、『Smart Cloud Phone®
』には各サービスとの連携オプションがあり、親和性の高いNTTコミュニケーションズ提供の多彩なサービス上で利用できる法人向けIP電話サービス『Arcstar IP Voice
』も提案させていただきました」(千葉)
結果として「オフィスリンク®」、「Smart Cloud Phone®
」、「Arcstar IP Voice
」に加えて固定電話機約100台、スマートフォン(iPhone)約180台をワンストップで納入するプロジェクトとなった。

ソリューション営業部 神奈川支店
第二グループ 第一チーム 千葉牧子
しかも、8月に本社移転が決まってから、わずか5カ月後の12月には800坪規模の新本社が稼働開始というタイトなスケジュールだった。
「株式会社MICさまはとにかく変化のスピードが速いので、ついていくのに必死でした。今回プロジェクトを始動するにあたっても、スピード感を持って伴走することを第一条件として提示いただいていたこともあり、日本コムシス株式会社さま、株式会社文祥堂さまを含む体制を構築し、スピード感を持って対応することとしました」(千葉)

効果
オフィスのレイアウト変更がスピーディに
電話番号もコントロールパネルで一括管理
システム更新後、業務はどのように変わったのか、佐藤氏に伺った。「物理的なPBXがあったころは、電話番号の追加や内線の割り当てなどの設定変更をする際には、工事業者を呼ぶ必要がありました。当然コストもかかりますし、弊社のように事業の拡大とともに毎月のようにレイアウト変更が発生する場合、工事のスケジュールを待っていてはとても対応できませんでした。現在、情報システム部には4人が在籍していますが、2人体制だった時期もあり、少ない人員の中でフリーアクセスフロアを開けて、電話線を引いたり、はぎ取ったりといったようなアナログの作業を行うことに限界を感じていました。現在はWeb上で、鳴り分け設定、内線グループの変更、外線グループの変更などを自分たちで行うことができるようになり、負担は軽減されましたし、コストも削減できているのではないかと思っています」

池谷氏もレイアウト変更時のスピードアップを認識していると言う。「実は、今朝も午前9時に設定を変更したところです。営業時間外に流すガイダンスのスケジュール変更などの操作が自分たちの手で即座にできるところが非常に魅力的だと感じています」
時にはレイアウト変更が先行して行われ、1カ月間は内線電話が使えない、などの状況も発生していたそうだが、現在は即日のレイアウト変更も可能になったと言う。
また、電話番号が一括管理できるようになったメリットも大きいと佐藤氏は語る。「Excelによる電話番号管理がなくなったことも大きいですね。今回の本社移転の際にも、調べて見るとすごい数の電話番号が出てきました。中には拾いそびれていたもの、管理者不在のものなどもあり、すべてを洗い出すには相当な時間がかかりました。また、Excelファイルにロックがかかってしまっていたり、誰がいつ編集したものか分からないといった事態も起きていました。現在はコントロールパネルに一覧表示されるので、事故なく効率的に管理することができています。内線番号についてもどの番号帯をどの範囲で割り当てられるのかを把握できていなかったため、確認後に再工事となり開通が2~3週間遅れることもありましたが、そういったこともなくなりました」
さらに思わぬ副産物もあったそうだ。「今回の本社の移転では、市外局番が変わるため、すべての外線番号を取り直す必要がありました。その際、弊社事業の柱の1つであるニコニコレンタカーを示す、縁起の良い末尾『2525』の電話番号を千葉さんにお願いしていたのですが、運よく本社の代表番号として取得できたんです。非常に幸先の良いスタートが切れたのではないかと思います」(佐藤氏)
展望
「オフィスリンク®」の活用範囲を極力拡大していきたい
デバイスの管理やセキュリティ対策にも取り組みたい
今後の展望について、池谷氏は「オフィスリンク®」の利用拡大を挙げた。「稼働を開始してまだ数カ月ということもあり、すべての機能を使いこなせているわけではありませんが、テストは行っています。レンタカー事務所や直営店など、現場のスタッフは動き回っていることが多いので、固定電話に替えてiPhoneで内線・外線の受発信ができると便利だと思います。せっかくですので、少しずつ活用範囲を広げながら、利用される方が操作性の面で苦慮しないように、『これなら固定電話がなくても、何なら固定電話よりももっと柔軟に業務ができていい』と言っていただけるようなサポートができたらと思います」
また、佐藤氏はセキュリティ強化などを課題として挙げる。「ドコモビジネスのサービスは多岐にわたり、扱っている商材も多いため、すべてを把握しているわけではありませんが、たとえば社内のセキュリティの強化やデバイスの管理に取り組みたいと思っています。現在はビジネスプラスで導入したMDMを利用していますが、社員の増加に伴ってPCの数も増加していて、デバイス管理が十分にできているとは言えない状況です。資産管理も含めて、デバイス管理を行えるような商材があればぜひ紹介していただきたいと思っています。また、BCP対策の面も充実させたいと考えています」
射手園氏は、今回の新社屋への移転は今後の財産になると言う。「もともとNTTグループに対しては、品質が安定していてつながりやすいという印象を持っていました。今回は社内携帯をすべてiPhoneに変えるというところからスタートしたのですが、各店舗からは非常に仕事がやりやすくなったという声が寄せられています。当初我々が想定していなかった、駐車場を探す、iPhone同士で情報を共有するといった機能が重宝されているようです。また、社内の「オフィスリンク®」と連携したり、紛失などのトラブルがあった際に遠隔で利用を停止したりするなど、これまで使用できなかった機能を備えていることも大きいですね。また、弊社のスピード感は強みである反面、たとえばレイアウト変更のたびに異なる業者に依頼するなどしていたため、図面を紛失していたり、配線の詳細が不明となっていたりするというデメリットがあることも分かり、今後はそうした面の管理を見直そうと思っています。今回は急な本社移転とはなりましたが、各社が連携して対処していただく統一感のある流れができたことには非常に感謝しています」
今後もドコモビジネスとともにチューニングを重ね、完成形を目指していきたいという株式会社MICの皆さま。同社のスピード感のある成長は今後も継続していくことだろう。

株式会社 MIC(ミック)
- 組織概要:
- 1986年(昭和61年)設立。ガソリンスタンドを中心とした自動車関連会社のコンサルティング業からスタートし、現在では12時間2,525円からという低価格が魅力の「ニコニコレンタカー」約1,500店を運営するほか、新車販売など主に自動車を商材とした事業を幅広く手掛けている。2024年12月に本社を横浜市港北区新横浜に移転。
- URL
- https://www.mic-info.co.jp/