導入事例

ロゴ:富山県

「戦略的広報広聴調査および実証業務」にて、
広報のあるべき姿をめざし未来のデジタル窓口構築につなげる
県庁公式LINEのリニューアルで、登録者数が約3倍に増加
導入の目的:地域活性化、自治体、データ利活用

富山県
課題
  • ●既存の媒体は各部局の縦割りの情報発信で、同じ情報が重複することも
  • ●これまでは子育て世代、高齢者といった属性に応じた情報発信に未対応。利用者が本当に必要な情報を探しに行くことも
  • ●一方的な情報発信になりやすく、利用者の声が届きにくい
対策
  • ●各部局担当者・関連団体のヒアリングで発信するべき情報を整理・方針策定
  • ●アンケートができるドコモビジネスの「プレミアパネル別ウィンドウで開きます。」を使い、県民や旅行者、移住希望者の動向を調査しユーザーセグメントを設定
  • ●LINEアンケートを活用し、利用者ニーズを取得可能に
効果
  • ●リニューアル後、県公式LINE登録者数が約3倍に(2025年1月現在)
  • ●利用者目線のメニュー構成に改変され、知りたい情報が探しやすいと好評
  • ●県庁内で利用者向けの情報発信にデジタル窓口を活用する意識が高まる
展望
  • ●利用促進のため、ユーザーの属性にあわせた配信をさらに充実
  • ●情報分析で得たデータを「見える化」し、地域ブランディングなどに利活用
  • ●情報災害共有アプリなど外部システムと連携した未来のデジタル窓口を提案

株式会社ドコモビジネスソリューションズは全国のお客さまへ営業活動を行うNTTコミュニケーションズ株式会社のグループ会社です。

課題

“必要な情報を、必要な人に届ける”
利用者ファーストのデジタル窓口へ

 2022年に策定した富山県成長戦略「幸せ人口1000万~ウェルビーイング先進地域、富山~」。一人ひとりが故郷に誇りと愛着が持てるようになり、富山に魅力を感じた多様な人材が集う県政をめざすものだ。その柱の1つ、「県庁オープン化」は、従来の広報・広聴活動をデジタル技術によって透明性を高め、県民参加や官民連携がしやすい県庁をつくることが狙いだ。そこで、富山県庁からNTT Comとドコモビジネスソリューションズ(以下、ドコモビジネス)にプロポーザル方式で委託されたのが、「戦略的広報広聴調査および実証業務」というミッション。県民、県内外の企業と観光客、移住希望者のそれぞれの属性に対応した情報をタイムリーに届け、双方向で関係構築を図るデジタル窓口を富山県庁と共創していくプロジェクトである。
 2022年度、最初に取り組んだのは、県庁のデジタル窓口の見直しである。当時の「戦略的広報広聴調査および実証業務」の主管を務めた若林勇人主幹(現・高齢福祉課課長)がこう話す。「今回の見直しの大きな課題は、『必要な人に必要な情報が届いているか?』でした。これには3つの課題がありました」
 1つめは、利用者が知りたい情報にすぐたどり着けないこと。「県の公式ホームページは情報の網羅性は高いものでしたが、項目が多く部署ごとの発信のため、同じような情報が重複するケースも多く見受けられました」
 2つめの課題は、セグメント(属性)分けのない利用者一律の情報発信。「2020年にSNSを利用した県民向けの情報発信として、『富山県公式LINE』を立ちあげました。当時は、子育て世代、高齢者、観光客などにも同じ情報が届いてしまい、受け手側の属性に応じた発信ができていませんでした。」

元・富山県庁 知事政策局 デジタル化推進室主幹(現・富山県厚生部 高齢福祉課 地域包括ケア推進担当課長)若林勇人(はやと)氏
元・富山県庁 知事政策局 デジタル化推進室主幹
(現・富山県厚生部 高齢福祉課 地域包括ケア推進担当課長)
若林勇人(はやと)氏

 3つめは、利用者からのフィードバックを受ける仕組みがなかったことです。「県からの一方的な発信では、継続的な改善にはつながりません」(若林氏)
 県庁と利用者の双方向のやりとりができ、利用者のニーズを把握して情報を届ける、“攻め”のデジタル窓口へと舵を切った。

対策

綿密なヒアリングとアンケート調査で
ユーザー属性を設定し、伝えたい情報を整理・方針策定

 今回の事案は、株式会社ドコモビジネスソリューションズ北陸支社富山支店・第一グループの小嵐圭史担当課長、田中優貴主査、中川智裕主査を中心に進められた。まずは、県庁のニーズと課題を明確にするため、各部局担当者・関連団体のヒアリングを行った。「各部署では、すでに多彩な媒体をお持ちでした。どの媒体がどの分野で利用されているのかという、情報の整理から始めました」(田中)
 部署ごとに縦割りになっていた情報の中身を精査し、整理していく作業は、彼らが注力した任務の1つ。担当者と密なコミュニケーションをとりながら進めていった。「全部のご要望を叶えるのは難しいので、将来性を見据え、できるところから取り組むという姿勢で適切な着地点を探しました」(中川)。対して若林氏はこう語る。「これまでは各部署での情報発信だったので、情報の取捨選択に慣れない職員も多かったと思います。セグメント設定の必要性を県庁内で理解してもらうことが今回の事案の第一歩でした」(若林氏)
 さらにユーザー側のニーズを調査するために、スマートフォンでアンケートが行えるドコモビジネスのサービス「プレミアパネル別ウィンドウで開きます。」を活用。約1億人を誇るドコモの会員組織「dポイントクラブ」の会員に、アンケート形式でのプロモーションやリサーチが行えるサービスだ(図表1)。

株式会社ドコモビジネスソリューションズ 北陸支社 富山支店 第一グループ 主査 田中優貴
株式会社ドコモビジネスソリューションズ 北陸支社 富山支店 第一グループ
主査 田中優貴
株式会社ドコモビジネスソリューションズ 北陸支社 富山支店 第一グループ 主査 中川智裕
株式会社ドコモビジネスソリューションズ 北陸支社 富山支店 第一グループ
主査 中川智裕

対象者は県在住者のほか、過去1年以内に1度、かつ1時間以上富山に滞在した観光者にもアンケートを実施。「県主体でアンケートを行う場合、県内の方に依頼することが多く、接点が少ない県外の方の意見を聞くのは難しいものがありました。『プレミアパネル別ウィンドウで開きます。』はスマートフォンでスピーディーに調査でき、タイトなスケジュールの中で非常に重宝しました」(若林氏)
 アンケート結果を分析し、県公式LINEのユーザー属性を選定。LINEで構築したメニューでは、その属性に合わせた情報の出し分けができるようにした。画面下には、ニーズの高かった「(交通機関の)移動」「医療情報」「防災情報」「観光」などの共通メニューを配置(図表2)。属性ごとの個別メニューに、シニア、子育て、結婚、就職、移住情報など8つのメニュー(図表3)が並ぶ。
 もう1つ加わったのが、より詳細な利用者の属性を知るためのアンケート機能(図表4)。利用者がLINEの友達登録をする前にアンケートに回答、その回答データにふさわしい情報が利用者に届く。一方的な情報配信だけでなく、利用者の性別、年代、知りたい情報などのフィードバックを得ることで、欲しい情報を欲しい人に限定してタイムリーに届けることが可能となった。

(図表1) ドコモ「プレミアパネル」の特徴
(図表1) ドコモ「プレミアパネル」の特徴
(図表2)共通メニュー
(図表2)共通メニュー

特にニーズが高い8つのメニュー

(図表3)個別メニュー
(図表3)個別メニュー

利用者の方の属性に応じた8つのメニュー

(図表4)アンケート画面
(図表4)アンケート画面

短時間で回答できる選択式のアンケートフォーム

効果

利用者目線に立ったメニュー構成で
登録者が年々増加し、庁内の意識も変わる

 新しくなった富山県公式LINEは、2023年3月に配信がスタート。富山県庁ブランディング推進課の主事・福田健人氏が現在の状況を語る。「以前の登録者は約4,500人、1か月のタップ数が1,000回ほどだったのが、2025年1月20日現在では登録者約1万8,000人、月タップ数は3,000回と多くなり、県外の利用者も以前の80人から600人に増えました。これも利用者目線のメニューに一新されたおかげだと思っています」
 県庁内でも、“使いやすくなった”と評判だ。「とくにSNSをあまり使わない世代の職員に好評です。『1つのツールですべて解決できる』を念頭につくったので、以前よりも必要な情報が素早く探せるのが評価のポイントでしょう」(福田氏)。富山弁で、“困ったらとりあえずLINEにしられ(しなさい)”という頼りになる富山県公式LINEに生まれ変わった。今回の事案でマネジメントを担当した小嵐は、「提案から実装まで年度内に完了という時間が制約されたなかで、新しいLINEに無事に切り替わった瞬間の安堵感は、今でも心に残っています。

富山県知事政策局 広報・ブランディング推進室 ブランディング推進課 主事 福田健人氏
富山県知事政策局 広報・ブランディング推進室 ブランディング推進課
主事 福田健人氏
株式会社ドコモビジネスソリューションズ 北陸支社 富山支店 第一グループ 課長 小嵐圭史
株式会社ドコモビジネスソリューションズ 北陸支社 富山支店 第一グループ
課長 小嵐圭史

県公式LINEが『ウェルビーイング先進地域』を支える土台となり、県民の方たち、富山県に関わるみなさまが幸せを感じるツールになってくれると嬉しいです」と話す。
 リニューアル後は、デジタル窓口に対しての県庁職員の意識も変わった。「公式LINEへの注目が高まり、各部署で情報をどんどん入れてくれるようになっています」(福田氏)。現在、共通メニューに配置された「職員自作動画チャンネル」は、リニューアル後に始まったもの。「登録者は40~50代が主流のため、若い世代にも見てもらえるように動画の配信やキャンペーンを企画するようになりました。また部署の担当者には、セグメントを指定してもらうしくみになっているので、以前にはなかった“伝えたい情報を、伝えたい人に届ける”という意識が県庁内で高まっていると感じています」(福田氏)

展望

新しくなった県庁公式LINEから広がる
未来のデジタル窓口の可能性

 ドコモビジネスでは定期的に利用者情報を分析したレポート報告会を行っている。「どのアイコンがよりたくさんクリックされているかなどのセグメントごとの利用状況を『見える化』し、あまり押されていないボタンには、新たなボタンを配置するといった利用促進のサポートを行っています」(中川)。2024年度に配属された広報課の主事・石村茜実氏は、公式LINEの実質的な運営をまかされている。「各部署の担当者にセグメントの指定をお願いしていますが、『どのセグメントに設定すればいいのかが分からない』という相談も多く、結局は全部のセグメントに配信する場合もよくあります。各部署の担当者に適切なアドバイスができるように、これからもドコモビジネスさんと連携していきたいです」と話す。
 ドコモビジネスでは、未来を見据えた富山県庁のデジタル窓口構築の提案も行っている。「取得したデータの利活用やマーティング、会員基盤を活かした地域おこしなど、いろいろな広がりが想定できます。たとえば総務省の情報災害共有アプリ『Lアラート』などの外部システムとの連携ができればデジタル窓口の可能性がより広がっていくと思います」(田中・中川)
 最後に、現在は地域ブランディングに携わる福田氏が話してくれた。「自社のソリューションにこだわらず、我々の立場に寄り添ったご提案をいただけて、とても助かりました。今後はデジタル窓口のデータ利活用として、『寿司といえば、富山』などの地域ブランディングでドコモビジネスのみなさんからの提案を期待しています」

富山県知事政策局 広報・ブランディング推進室 広報課 企画・報道担当 主事 石村茜実氏
富山県知事政策局 広報・ブランディング推進室 広報課 企画・報道担当
主事 石村茜実氏
富山県の外観

富山県

組織概要:
本州中部に位置する富山県は、県内15市町村、総人口999,476人(2024年4月1日)。北アルプスと日本海にはさまれた大自然と、山と海に育まれた豊かな食の幸のほか、充実した教育環境とDX人材の育成に力を入れる県としても知られている。2025年1月に発表されたアメリカの有力紙「ニューヨーク・タイムズ紙」の世界の旅行先を紹介する「2025年に行くべき52カ所」に富山市が選定。県全体でインバウンド効果が期待される。
URL
https://www.pref.toyama.jp

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