遠隔で現場をタイムリーに「見える化」。
クラウド録画カメラサービスで建設業界の課題解決
導入の目的:建設業のDX化、業務効率化

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※1:coomonita(コーモニタ)
NTT コミュニケーションズ株式会社が提供するクラウド録画カメラサービス
株式会社ドコモビジネスソリューションズは全国のお客さまへ営業活動を行うNTTコミュニケーションズ株式会社のグループ会社です。
課題
業界が抱える人手不足を解消し
現場への移動時間を短縮したい
1957年の創業以来、地元長崎県を中心に港湾土木や道路、トンネルなどのインフラ整備から商業施設や公共施設、マンションの建築工事まで、幅広く手掛けている総合建設業の西海(さいかい)建設。仕事のデジタル化や働き方改革の実現が遅れがちな建設業界において、「土木女子」という言葉が生まれる前から女性技術者を積極的に採用し、さらには県内でもデジタル技術をいち早く取り入れ、業務の効率化を進めている先進的な企業だ。
「建築業界は慢性的な人手不足で、働き方改革の『建設2024年問題』により労働時間も大幅に制限されています。建設業では個人がそれぞれの技術を持って仕事をしていたため情報共有という概念があまりなく、現場でのやりとりも紙がほとんど。デジタル技術には触れてこなかった業種なので、体制を早め早めに整えていきました」とは、株式会社西海建設土木工事部DX推進課係長の竹下友作氏。約10年におよぶ建設現場での経験を活かし、社内のデジタル化に取り組んでいる。なかでも課題となっていたのは、建設業特有ともいえる現場までの移動時間の長さ。
「土木業界という特性上、現場は交通アクセスの悪い辺鄙な場所が多く、とくに長崎には離島があるため、移動時間が大幅にかかります。生産性を上げるために移動時間を短縮したい、しかし現場に行かなければ安全管理、品質管理ができないというのが大きなジレンマでした」(竹下係長)

竹下友作氏
対策
リアルタイムで現場確認が可能な
クラウド録画カメラサービス「coomonita」を導入
こうした課題解決のために導入されたのが、NTT Comとドコモビジネスソリューションズの両社(以下、ドコモビジネス)が提供するクラウド録画カメラサービス「coomonita」(コーモニタ)だ。カメラで撮影した映像をクラウド上で管理し、パソコンやスマートフォンからいつでもどこでも映像を視聴可能。現場に行かずに、リモート環境で複数の建設現場の品質管理や安全管理が行うことができる。協業する代理店を介して商談を進めたのがドコモビジネスソリューションズ九州支社ソリューション営業部門第二グループの熊谷達矢だ。「竹下さまとお会いした当初から、coomonita
をご指定いただいて、その使い方や運用方法まで細かくお話しくださったときは驚きました。
これなら安心して提案できる、とその時点で確信しました」と当時を振り返る。
熊谷が商談をすすめたcoomonitaの持つ特徴は大きく3つ。
1つめは高画質映像とクリアな音声。看板の文字や人の表情などもくっきり見える映像を見ながら通話も可能だ。
2つめは、高セキュリティなシステム。カメラへの外部からのアクセスができず、クラウド上では映像が暗号化されて不正アクセス対策も万全。
3つめは導入の手軽さ。従来の防犯カメラは専用のレコーダーやモニターなどの機器が必要なものが多い。一方で「coomonita」導入に必要なものは基本的にはカメラだけ。また、専門の事業者による工事がなくても設置できるケースも多い。
「導入のきっかけは、国交省の2020年に改定された『特例監理技術者制度』でした。監理技術者※2はこれまでは1人1現場が大原則でしたが、働き方改革に起因して建設業法が改正され、一定の条件を満たすことで現場の兼任ができるようになりました。そのタイミングで新たにクラウド録画カメラを導入し、1人2現場が担当できる体制を整えました」(竹下係長)。
以前はクラウド録画カメラ国内シェアのトップを誇るSafie(セーフィー)社の固定設置カメラをレンタルで使用していた。
「長く使えるものは購入するのが当社の方針だったので、Safie社の固定設置カメラがレンタルではなく購入できると聞いて即決しました」(竹下係長)。
2023年に固定設置型カメラ6台を導入後、さらに台数を増やし、2025年2月現在で計10台を運用する。建設現場の規模にあわせて1現場につき1~3台のカメラを設置し、1人で2現場を効率よく管理できる環境が整った。
※2:監理技術者
施工計画の作成、工程管理、品質管理、その他の技術上の管理のほか、工事の施工に従事する者の指導監督のこと。
coomonitaの特徴

効果
精神的な負担も減り、業務効率アップ
録画映像は安全対策にも役立てる
coomnitaを導入後、さまざまなメリットがあった。管理者1人が状況を確認できる現場が1件から2件になり、生産性が向上したこともあるがそれだけではない。
「建設工事の現場技術者を指揮監督し、工事全体を管理する施工管理の業務は、現場の安全管理が第一です。『作業員の安全が守られているか』『危険な場所に侵入していないか』などが常に気になるので、時間の許す限り現場にいたいのが本音です。しかし、書類作成のデスクワークや役所の書類申請、業者との打ち合わせなど1人で多くの業務を抱えているので現実的に難しい。私自身、coomnita導入以前は、現場が気になって仕方がないというストレスを感じていました」(竹下係長)
導入後は、カメラが人の眼の代わりになってリアルタイムに現場の状況を確認できることで、心理的にすごく楽になったと言う。
「カメラが360度自由に方向を変えられ、解像度が高いので、どれだけアップにしても映像がクリアに見られます。作業員の動きが鮮明に把握でき、気になればスマホで即座に連絡できます。こうした安心感から、デスクワーク中などには現場映像を見ているだけで気持ちが落ち着きました。まさに精神安定剤ですね(笑)」(竹下係長)
クラウドで録画された映像は、現場の打ち合わせ時にも大活躍だ。
「夕方の打ち合わせには、録画映像を見ながら1日の業務を検証しています。以前のように図面で説明するよりも、録画映像を見た方が正確に指示出しができ、コミュニケーションも円滑になります」
繰り返し視聴できる録画映像は、現場の安全対策にも活用できると竹下係長は言う。

「万が一、現場で不具合が発生した場合は、カメラの録画映像をもとに原因の究明を行うことも可能だと考えています。建設現場の安全対策・安全管理に活用していきたいですね」
現場の担当者だけでなく、長崎県内の各拠点を統括するグループ長にもリアルタイムの映像や録画映像がタブレットやスマートフォンで確認できる体制を整備。迅速な対応が可能となり、業務効率化につながっている。
展望
導入コストにも優れたcoomonitaで
建設業DXの底上げをしていきたい
2023年に購入した録画カメラは今も現役で活躍中だ。
「1年ほどの工事期間中、カメラは半年使えば十分元がとれるという計算ですが、半年といわず工事が終わった後も何の不具合もなく使えています。コストパフォーマンスはとてもいいですね。レンタルではなく、購入を選んだ判断は正しかったと思っています。今はまだ全現場で録画カメラが使われているというわけではありませんが、いずれはもっと拡大していきたいと考えています」(竹下係長)
次のステップは、AIなどを活用して生産性を上げる工夫をすることだ。
「今は工事現場に搬入するトラックの台数は目視で確認しています。これを例えばAIが集計してくれたり、危険な箇所に立ち入った時はアラートを出してくれたりと、仕事がもっと楽になる機能があるとうれしいですね」(竹下係長)。
ドコモビジネスソリューションズの熊谷は「後日、『coomonitaを導入してすごくよかったです』と、竹下さまから声をかけていただいたときは、とても励みになりました。coomonita
では、録画カメラで撮影した映像を解析し、人数カウントできる機能などAIを活用したサービスも取り扱っているので、今後も建設現場に特化したサービスを提案させていただきます」と話す。
「建設業のDX化が進んでいるといえども、まだまだアナログの世界です。DXの技術的な情報が得られない人たちも多く、こうした人々にも情報を広げていくことが業界全体で必要です。建設業の発展のためにも、coomonitaの活用をきっかけにして業界のデジタル化を進めていきたいですね」(竹下係長)

株式会社西海建設
- 組織概要:
- 創業者である寺澤憲三氏が長崎の港湾土木に携わる会社として、1957年8月1日に創業。以来、長崎港や女神大橋(長崎県)といった土木インフラをはじめ、長崎県庁駐車場、島原市庁舎などの公共施設、病院・福祉施設、マンションやテナントビルを手掛ける総合建設会社として事業を拡大。近年は積極的にICT/IoT技術の導入や社内・外からの知識を取り入れ、生産性の向上・労働環境の改善を推し進めている。
- URL
- https://www.saikai-grp.com