医療機関専用ソリューション「メドコム」を導入し、
院内コミュニケーションを円滑化
「スマホ」ならではの機能を活用し、医療現場の業務効率化にも貢献
導入の目的:医療DX、業務効率化、IoT
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NTTドコモビジネスソリューションズ株式会社は全国のお客さまへ営業活動を行うNTTドコモビジネス株式会社のグループ会社です。
※2025年7月、社名変更により、ドコモビジネスソリューションズはNTTドコモビジネスソリューションズに、NTTコミュニケーションズはNTTドコモビジネスになりました。
課題
PHSの使用期限が迫る中、院内のコミュニケーション課題を解決する
代替ソリューションを検討
組合立諏訪中央病院は、長野県茅野市・原村・諏訪市の組合で運営する病院である。同院はPHS環境からの切り替えに伴い、スマートフォンおよび医療機関専用ソリューション「メドコム」を導入した。当時の課題について、DX推進室長を兼務する須田万勢統括院長補佐にお聞きした。
「当時、コミュニケーションの手段は電話かメールでした。医師の立場で言うと、外来中に不要不急の用件の電話がかかってきて外来診療が中断するといったことがまぁまぁ、ありました。それなら、メールでいいのではと思われるかもしれませんが、メールは送る方も手間がかかりますし、受ける方もPC端末まで行かないと内容を確認できないため、回診中などは対応できません。非同期ながらプッシュ通知で現在起きていることをある程度把握できる、電話とメールの中間のようなコミュニケーション手段が必要だと考えていました」
同様のニーズは、同院に理学療法士として従事する傍ら、技術部の副技術部長、経営戦略室長およびDX推進室副室長を務める杉田勇氏も把握していたと言う。
経営戦略室長 兼 DX推進室副室長
杉田勇氏
統括院長補佐 兼 リウマチ・膠原病内科医長
兼 DX推進室長 須田万勢氏
「コロナ禍などで使用期限は伸びたものの、PHSの代替を考えなければいけないというところが議論のスタートでした。その際、PHSではコミュニケーションが取りにくいという意見があったため、スマートフォンの導入も検討しました。また、コメディカルなどのスタッフが医師に連絡するのはハードルが高いので、ハードルを低くするような何らかのコミュニケーションツールを設ける必要があるのではないかとも思っていました。同時に、患者さまの入り口となる入院診療と出口となる退院までの情報共有を円滑にする、在宅医療に従事するスタッフへの情報共有を円滑にするなどの目標もありました」
こうした背景から、PHSの代替ソリューションとして実績のあった「メドコム」の導入を検討したと振り返る。
対策
医療現場に特化した「メドコム」の導入に向け、院内の電波環境を整備
「メドコム」のプロダクト開発チームの池田龍太朗氏に、医療機関専用ソリューション「メドコム」の特徴について伺った。
「メドコムは、医療現場に特化したコミュニケーションツールです。普段プライベートで使用するスマートフォンとは異なり、医療現場ではセキュリティが非常に高く、閉じた環境の中で使う必要があります。一つひとつのサービス自体はシンプルですが、アプリの一括アップデートやMDM※を含む端末管理などが可能な当社の製品でご支援できるのではないかと感じました」
※モバイル端末管理(Mobile Device Management)。従業員のスマートフォンやタブレット、PCなどの端末を一元管理する仕組み。万一の盗難や紛失時にも対応することができる
プロダクト事業部プロダクト企画担当
兼 事業開発担当シニアマネージャー 池田龍太朗氏
プラットフォームサービス本部 5G&IoTサービス部
第二サービス部門 第7グループ 第二チーム
メディカルビジネス推進チーム 島田一輝
実際、同院ではSEの人数が限られていることもあり、杉田氏は相性の良さを感じたと話す。ただし、メドコムの真価を発揮するには、院内の電波環境を改善する必要があった。NTTドコモビジネス株式会社の島田一輝は言う。
「病院さまの建物は、一般の建物と比べて非常に堅牢性が高く、内部も複雑です。そこで、NTTドコモのネットワーク部が現地調査を行い、ドコモの通信環境の改善をめざし、IMCS※を設置するなど、1年半ほどかけてネットワークを構築しました。1年半というと長く感じるかもしれませんが、病院さまに快適にお使いいただくことを最重要と位置づけて、進めました」
こうして、まずは300台のAndroid端末と「メドコム」が同院に導入された。
※In-building Mobile Communication System、インクス。NTTドコモが提供する、高層ビルや地下街など電波が届きにくい場所でもスマートフォンの通話・通信を可能とする屋内基地局システム
効果
院内コミュニケーションの円滑化が図られ、医療現場の業務の効率化にも貢献
導入後の効果について、同院で部署を横断する救急入院のサポートに従事する寺島悠那氏にお聞きした。
「メドコムのログイン機能により、いま現在、医師に電話していいのか、チャットにした方がよいのかの判断ができるようになりました。
また、これまでは、電話番号が書いてある表から必要な電話番号を探していましたが、現在は名前を検索すればすぐに出てくるので、コミュニケーションは非常にスムーズになったかと思います。また、緊急ではないけれども処方してほしい、という時にも、『手が空いた時にお願いします』といったチャットを入れられるので、気軽に連絡できて、使い勝手がいいと感じています」
同院の導入前の狙い通り、“電話とメールの中間”のコミュニケーション手段が構築できた。また、PHSからスマートフォンに更新されたことで、副次的な効果も生まれたと言う。同じく、救急入院のサポートに従事する赤羽久美氏に伺った。
看護部 赤羽久美氏
スマホのカメラ機能は患者の傷や点滴薬剤のバーコードを撮影する際にも活用されている
看護部 寺島悠那氏
「看護師は、意外に荷物が多いんです。点滴の輸液管理をする際に使用する電卓や、アレルギーチェック時に使用するストップウォッチなど、どの科でも看護師のポケットは常にパンパンです。スマートフォンには電卓機能もアラーム機能も付属していますから、荷物が減って楽になった、という声はさまざまな部署から聞こえてきます。加えて、カメラ機能です。従来、患者さまの傷を見つけた時などには、ステーションにデジタルカメラを取りに行き撮影していました。撮影後はシステム部に申請し、電子カルテに入れてもらっていましたから、タイミング次第では1日がかりでした。それが、撮影すれば自動で患者さまにひも付けられ、電子カルテに反映されるようになりました」
導入による効果は、リハビリテーションの現場でも見られたと、杉田氏は振り返る。
「私はリハビリ職なので、医師に回復状況を報告することがよくあります。これまでは写真や言葉で行っていましたが、現在は動画で送れるので、たとえば『現在これくらい歩いているので、退院の面談を実施してください』といったチャットで送ることができます。また、訪問看護師や訪問リハビリテーションなど、在宅スタッフ全員にスマートフォンを支給しているので、『患者さまの家に行ったらこんな傷があった』と写真を撮ってチャットで流すことができる、急変した場合には病院の交換を通さず直接医師に電話できるなど、コミュニケーションが取りやすくなったと喜ばれています」
導入前には、「導入するものの、本当に活用してもらえるのか」という不安もあったようだが、導入後1カ月でチャットの履歴は1万件を超えるなど、想定以上にスピーディに活用が進んだようだ。
展望
将来は利用範囲を拡大し、地域の連携拠点としても活用したい
最後に、今後の活用について須田氏にお聞きした。
「当院では、メドコムに『MeLL+(メルタス)』という医療・介護情報連携ツールを導入しています。主にブラウザベースで地域事業者間の情報連携を行っていますが、メドコムではPWAでスマホアプリのように使用できます。将来的にはこれを入退院支援ツールとしても使いたいと思っています。 病院を訪れる患者さまは、ほとんどの時間を病院外で過ごしています。実は訪問看護や訪問介護など、在宅時には写真を含めかなりの情報が記録されています。これらの情報をMeLL+に書き込み、取り出せるようにすれば、入院時に情報登録の時間を短縮できたり、退院時に『こういう状態で退院します』といった情報共有をできたりするのではと考えています。多職種で集まってミーティングを行わなくても、情報連携がスムーズにできるよう、端末をどのように使用できるかを考えていきたいです。病院の中だけで使うのでは、もったいないという気がしています」
島田は、今回の導入事例をモデルケースとして活用したいと意気込む。
「私たちは患者さまを直接救うことはできませんが、患者さまと向き合って仕事をされる病院職員の皆さまの働き方を少しでも変えられるプロダクトを、メドコムさまをはじめとするパートナーさまと組んで届けていきたいと考えています。現在、私たちは、NTTドコモグループがめざす『四位一体構想』のもと、医療分野での価値創出に取り組んでいます。全国規模で培ってきた高品質なネットワークと運用のノウハウ、法人向けのソリューションの知見と経験、そして日常生活に寄り添ってきたコンシューマー・スマートライフ領域のアセットを有機的に組み合わせることで、病院さまのDX推進を支援するとともに、患者さまの健康意識の向上や医療と生活が自然につながる社会の実現に貢献していきます。今回、諏訪中央病院さまの取り組みをモデルケースとして、NTTドコモグループだからこそ実現できる医療DXの価値を、全国へと展開していくことを目指しています」
その具体的な取り組みについて、NTTドコモビジネスソリューションズ長野支店の川本尚平に聞いた。
ソリューション営業部 長野支店
主査 川本尚平
「我々NTTドコモビジネスソリューションズ長野支店は、地域の基幹病院さまのDXパートナーとしてお役に立つことをミッションとして営業活動を行っています。ネットワークを整え、スマートフォンを提供して終わりではなく、人手不足などいろいろと大変な環境の中、業務に当たっている病院スタッフに対してDXという手段で何かお役に立ちたいと考えています。具体的には、会議等の会話音声を生成AIによりテキスト化し、業務を効率化する仕組みをメドコムさまとも連携して構築するといったものです。また、市民の皆さまの医療をより良くするという部分では、『けんこうマイレージ』というバイタルのデータを“見える化”していくという仕組みがあります。こちらは既に諏訪中央病院さまにお試しいただいていますが、これをバージョンアップさせて、茅野市全体の市民さま向けに提供しようと考えています。今後も諏訪中央病院さま、NTTドコモグループが一体となって、今回の事例をモデルとして広げていきたいと思っています」
近いところでは、デジタルデバイドの解消に向け、病院内で相談ブースを設けて高齢者の方にスマートフォンの使用を支援するなどの取り組みも行っているとのことだ。
高齢化の進展による医療需要の増加、労働人口の減少などの観点から、喫緊の課題と言われる医療施設のDX化。NTTドコモグループによる「四位一体」の取り組みが、その一助になることを期待したい。
組合立諏訪中央病院
- 組織概要:
- 組合立諏訪中央病院は、長野県茅野市・原村・諏訪市の2市・1村で構成される地方公共団体(一部事務組合)が運営する、一般病床324床、療養病床36床を擁する病院。地域の中核病院として、地域の方々に急性期から慢性期に至る医療をいわゆる「ケアミックス型」で提供。また、介護老人保健施設「やすらぎの丘」、介護老人福祉施設「ふれあいの里」、看護専門学校をグループとして運営し、高齢者への介護・福祉サービス、看護師の人材育成なども行っている。さらに救急入院患者の割合が65%~70%を占めるなど、救急医療にも尽力している。
- URL
- https://www.suwachuo.jp/