つながる、お待たせしない電話窓口への刷新を実現し
業務改善のファーストステップとして患者CX向上を図る
導入の目的:CX向上、業務効率化など

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株式会社ドコモビジネスソリューションズは全国のお客さまへ営業活動を行うNTTコミュニケーションズ株式会社のグループ会社です。
課題
「つながらない」「待たされる」などのクレーム解消に向け
患者CX向上を皮切りとした電話窓口の刷新へ
東海大学医学部付属病院は、1975年の創設以来、東海大学建学の理念である「ヒューマニズムと科学の調和」を具現化し、安全かつ心温まる最善な医療を追求。先進的な医療機関として、また地域医療の中核的な役割も果たし、近年では東日本大震災や能登半島地震被災地などでの災害医療や新型コロナウイルス感染症の対応にも力を尽くしてきた。2025年、同院は創設50周年を迎え、次の50年に向けて「先駆ける医学部・医学部付属病院」を掲げ、さまざまな教育・運営戦略を立案。医療分野を取り巻く社会課題を解決し、時代に先駆けた新しい医学のあり方に挑戦している。

病院本部 病院運営企画室 次長
総務担当 桑久保ひとみ氏

医学部付属病院 事務部 事務課(医事・健診担当)
医療連携室 安藤肇氏

病院本部 病院運営企画室 次長
医学部・病院改革担当 大島慎一郎氏
「少子高齢化などに伴い、医療業界を取り巻く環境は急変しており、医師や看護師などの労働環境や働き方の見直しが急務になっています。50年後の100周年に向け、世界の先駆けとなる病院を目指す当院では、働き方改革の一環として業務の見直しやタスクシフティングを実施しています。さらにDX推進などによる業務効率化も図っていく方針です。このような取り組みの中でも、早急な見直しが必要になっていたのが従来の電話対応の仕組みでした」と語るのは東海大学病院本部の大島慎一郎氏である。
一般的に、大病院は病床数が200床以上とされている。同院は800床を超えていて、かなり大規模な病院に分類される。一方で、病院へつながる番号は、Webサイトなどに公開されている代表電話番号のみであったため、各所からの電話が集中していた。
「患者さんからのご意見や改善要望などを投書できる“ご意見箱”を院内に設置しているのですが、電話がつながりづらい、つながっても待たされるといったご意見を多数いただいていました。しかも、患者さんのみならず、他の医療機関医師や大学の教職員、学生からの電話も代表番号で受けていたため、電話窓口が機能しないことによるさまざまな弊害が生じていたのです」と、東海大学病院本部の桑久保ひとみ氏は課題を明かす。
「患者さんのからの電話では、症状などの確認を行う都合上、1件あたりの応対時間が長くなることも多く、他の電話はその結果つながらない、待たされるという状況が常態化していました。ずっと電話が鳴り止まない状況の中、適切な部署にコールを振り分けるオペレーターにも多大な負荷がかかっていました。またかかってきた電話の情報を可視化できておらず、データ分析もままならない状況でした。一方で、長年使用してきた代表番号自体に手を加えると想定外のトラブルやハレーションが発生する危険性もあったため、手始めに最も電話の総数が多い患者さんの予約関連にポイントを絞り、つながりやすい電話窓口づくりの検討をスタートしました」と、取り組みの発端を同院事務部の安藤肇氏は語る。
対策
高機能なIVRを評価しナビダイヤルの導入を決断
ファーストステップとして予約関連の電話に絞って実装
当初、自営の電話応対システムにIVRと呼ばれる自動応答機能を実装する案もあった。しかし、この方法にはいくつかの課題があったという。
「一番の課題はイニシャルコストでした。また、導入後の設備メンテナンスや維持・管理も大きな負担になります。さらに、IVRの設備を実装すると電話がつながった瞬間から自動応答の間にも料金が発生してしまうため、患者さんに負担をかけてしまうことも懸念点でした。そこで、すべての課題を解決でき、設備の導入が不要なナビダイヤルが最適ではないかと判断し、導入を決断しました。」(大島氏)
提案の経緯について、NTTコミュニケーションズ株式会社プラットフォームサービス本部田崎は、次のように説明する。
「ご提案に際し、オペレーターの皆さんが働く現場を拝見させていただいたのですが、非常にスキルの高い方がご対応されていました。通常は電話を受けたら、その方にかかりっきりになりますが、東海大学医学部付属病院のオペレーターの皆さんは、転送している間に別の電話を取るといった同時に複数人の対応をされていて、個人のオペレーションスキルで対応できる限界を超えていると言ってもいい状態でした。そのような課題の解決にはナビダイヤルが最適と判断し、ご提案しました」

神奈川支店 第一グループ第四チーム 生田美徳

第一営業推進 CXコンサルティング部門第二グループ
第一チーム 山口敦史

プラットフォームサービス本部 5G&IoT部 田崎秀典
ナビダイヤルは、全国共通の「0570」に続く6桁の専用番号を利用して、あらかじめ指定した電話番号に接続するサービスだ。時間帯や用件に応じてIVRでコールの振り分けを行うことで、オペレーターの負荷軽減に加え、コールを振り分ける間に料金が発生しないことも同院の要件と一致した。こうして、検討段階から約半年がかりでナビダイヤル
は導入された。予定通り、ファーストステップでは同院の代表番号にかかってくる電話で最も比率の高い診療予約関連に限定しての実装だった。
「電話受付の階層を深くすると、手間や時間がかかり、患者さんのご迷惑になるため、階層を浅くしたシンプルな構成にしています。ドコモビジネスには、半年間つきっきりで手厚くサポートしてもらい、説明なども丁寧で分かりやすかったです。おかげでスムーズにプロジェクトが完遂できたと思っています」(安藤氏)
「東海大学医学部付属病院さまの改善意欲の高さが、成功の要因だと感じています。いただいたご要望に対してこちらが回答するというキャッチボールを幾度も繰り返すことができたので、精度を上げることができました。ともすれば、煩雑になってしまうやりとりをいとわない熱意をお持ちだったことが、スムーズな開通につながったと思っています。さらに、開通してからも次の改善案が次々と出てきますので、より良いシステムへのブラッシュアップが進んでいきます」と、プロジェクトを担当したドコモビジネスソリューションズの生田は語る。
また、ドコモビジネスソリューションズの山口も、「ナビダイヤルの振り分けについては、電話受付の現場の皆さんとともに、より患者さんに分かりやすい形を検討しました。導入後も、ナビダイヤル
に対するご要望などをいただいておりますので、今後も連携を続けながら業務改善に向けた活動に携わらせていただければと考えております」と、現場の方々の意識の高さについて言及する。
効果
初診予約では100%に近い取次率を達成
クレームゼロで患者CXを大幅に向上
すでにナビダイヤルが導入されてから1年以上が過ぎた。その間も細かな改善を続けてきたことで、さまざまな効果が生まれているという。
「初診予約については100%に近い取次率を達成しており、満足できる効果が出ています。本稼働直後から2,000件を超える電話が処理できるようになり、その処理件数も毎月向上している状況です。一方で再診予約についての取次率は75%にとどまっており、現在は院内の体制を整理しながら取次率を高める改善を進めています。ナビダイヤルに切り替えたことで、かかってきた電話のデータを可視化・分析できるようになり、より効果的な改善策を実行することができています」(大島氏)
院内に設置している“ご意見箱”にも、変化があったようだ。
「ナビダイヤルを導入してから1年以上が過ぎましたが、つながらない、待たされるといった電話に関する改善要望はゼロです。患者さんのみならず、医療機関からも電話がつながりやすくなったという声はいただいています」(桑久保氏)
同院の電話応対業務をはじめとする総合管理を担っている山王総合株式会社の岡島剛氏も、「これまで年に数回は“責任者を出してほしい”といった電話が、私にエスカレーションされていましたが、それも現在はなくなっています」と続ける。
また、電話受付の現場でオペレーション業務を担当する同社の佐藤卓也氏は、「初診予約の取りこぼしは劇的に減少している印象です。今後、ナビダイヤルの活用領域が拡大すれば、どんどん働きやすい環境になると思います」と、今後の活用領域の拡大に期待を寄せる。

第二事業部 東海大学病院支店業務課電話交換
主任 池加奈子氏
展望
すべての電話のナビダイヤル移行を視野に
業務改善、働き方改革に寄与する院内DXを推進
東海大学医学部付属病院のナビダイヤル導入の評判は瞬時に広がり、系列の東海大学付属八王子病院では、すでにナビダイヤル
が実装されている。
「我々の導入後の効果を見て東海大学付属八王子病院では、さらに活用領域を拡大して、すべての電話をナビダイヤルに切り替えています。当院では現在着手している再診予約の改善が最優先ですが、その後は代表番号にかかってくるすべての電話をナビダイヤル
に移行する検討を行う予定です。今度はこちらが参考にしながら改善を進めていくことになると思います」(安藤氏)
ナビダイヤルとWeb予約システムの連携により、受付時間以外の予約についても対応が完了している。
「受付時間外に患者さんからかかってくる電話については、患者さんのスマートフォンにWeb予約のURLが自動送信される仕組みになっていて、多忙な患者さんに利用されているようです。今後は東海大学医学部付属病院さまの一連の取り組みで得た知見やノウハウを生かし、さまざまな医療機関へナビダイヤルの導入提案を推し進めていきたいと考えています」(田崎)
同院では今回のナビダイヤルの導入と並行して、さまざまなコミュニケーション基盤の整備を進めている。
「すでに入院中の患者さんや外来の患者さんが利用できるフリーWi-Fi環境は導入済みですし、建物内の携帯電話がつながりづらいエリアの問題も解消済みです。最新の取り組みとしては、スマホを利用した看護師業務の改善にドコモビジネスのお力を借りてチャレンジしています。もちろん、業務の効率化や働き方改革の推進に向けて、まだまだ改善の余地もあるため、引き続き、改善の取り組みを進めていきたいと考えています」(大島氏)

東海大学医学部付属病院
- 事業概要:
- 1975年の創設以来、安全かつ心温まる最善な医療を追求。時代に先駆けた新しい医学のあり方に挑戦する先進的な医療機関として、地域医療の中核的な役割を果たしている。
- URL
- https://www.fuzoku-hosp.tokai.ac.jp