導入事例

ロゴ:山梨市

市民のニーズに対応する公共交通を提供するため、
AIを活用したデマンド交通で課題解決に取り組む
導入の目的:自治体、地域活性化、スマートモビリティ

山梨市:左から山梨市役所 総務課 課長 竹川一郎氏、山梨市長 高木晴雄氏
課題
  • ●定時定路線の市民バスだけでは市民の需要に十分に応えられていない
  • ●市民バスだけではコストの負担も大きい。より効率的な交通システムが必要
対策
  • ●Via社と連携したデマンド交通システムを導入。実証実験を開始
  • ●アプリでの予約に加えて、コールセンターも設置し利便性と効率性を向上
効果
  • ●約半年で100回以上利用している市民がいるなど利用者から高評価
  • ●コスト削減を実現し、市内交通システムの効率化に貢献
展望
  • ●市全体の公共交通機関を持続可能なものに
  • ●デマンドシステムで新たな行政サービスを創出し、市民のQOL向上をめざす

NTTドコモビジネスソリューションズ株式会社は全国のお客さまへ営業活動を行うNTTドコモビジネス株式会社のグループ会社です。

※2025年7月、社名変更により、ドコモビジネスソリューションズはNTTドコモビジネスソリューションズに、NTTコミュニケーションズはNTTドコモビジネスになりました。
なお、文中の記載ならびに登場人物の所属先については、2025年3月時点の情報にもとづいております。

課題

従来の定期運行バスが
市民ニーズに応えられなくなってきた

 山梨市は甲府盆地の東部に位置し、西沢渓谷や乙女高原など、豊かな自然環境に恵まれ、四季折々の風景が楽しめる美しい景観と、日本有数のブドウとモモの産地として知られている。一方で、市民の人口減少・高齢化は徐々に進行中で、公共交通に対する市民のニーズは確実に高まっている。こうした状況を踏まえ、山梨市では、2023年3月に「山梨市地域公共交通計画」を策定。サービスの質と財政負担のバランスの取れた公共サービスの提供に向けた取り組みを始めた。
 市の面積の82%が中山間地ということもあり、人口のほとんどは平地に集中している。その地域特性もあり、公共交通機関の提供は最小限となっていった。市民の日常の足として親しまれてきた市民バスは、市民の目的地や利用したい時間などのニーズに十分に応えられていなかったことに加え、定期運行のため、乗客がいない場面も多く見られたという。
 「人口減少に伴って利用者が減少し、費用対効果の非常に悪いバスの運用をしている状況でした。また、コロナ禍によるタクシー事業者の廃業も重なって、山梨市の公共交通機関は市民の皆さんにとって便利なものでなくなりつつありました。バス路線外のエリアへのアクセスはタクシーを利用するしかありませんが、タクシー事業者がこれ以上減ってしまうと市民の選択肢が少なくなってしまうという懸念もあります」と語るのは山梨市役所総務課課長の竹川氏。

山梨市役所 総務課 課長 竹川一郎氏
山梨市役所 総務課 課長 竹川一郎氏

対策

ドコモグループと世界で実績のあるVia社と連携し
デマンド交通システムの実証実験を開始

 山梨市の公共交通の状況を知ったドコモビジネスソリューションズ山梨支店の齋藤昌輝は、現状把握のために足しげく市役所に通い、情報収集に努めた。

株式会社ドコモビジネスソリューションズ ソリューション営業部 山梨支店 第一グループ 第一チーム 齋藤昌輝

株式会社ドコモビジネスソリューションズ
ソリューション営業部 山梨支店
第一グループ 第一チーム 齋藤昌輝

 現状を踏まえて検討した結果、山梨市の公共交通の課題の解決にはNTT Comとドコモビジネスソリューションズの両社(以下、ドコモビジネス)が提供するデマンド交通システムの導入が最適との結論に至る。パートナーとして選択したのはデマンド交通システム市場で世界ナンバーワンのシェアを誇るVia社。NTTドコモグループとしても初めてアライアンスを組むパートナーだった。
 「Via社はNTTドコモとしても初めてのアライアンスパートナーでした。外資系ということもあり、企業文化が異なる中での調整は困難を極める場面もありましたが、無事に実験にこぎつけることができました。また、私たちは“携帯電話会社”としてのイメージが強く、端末をご提案する機会が非常に多いのがこれまでの特徴でした。それを“通信インフラを支える企業として自治体さまの課題を解決するためにどのようなお手伝いができるか”という原点に立ち戻ったのです。マインドが変わったことで、山梨市さまに実証実験のご提案をさせていただくご縁ができたのは大変うれしく思っています」と齋藤は話す。山梨市でデマンド交通システムの実証実験が決まり、市民からの利用申し込みはスマートフォンアプリだけでなく、コールセンターを設置し、アプリの使用に抵抗がある高齢者への対応も万全なものとした。

効果

乗車場所を細かく設定し、
ニーズに応えながらもコストを圧縮

 デマンド交通では、乗降場所を市内に500カ所設定。市民のニーズに対して細やかに対応した。デマンド交通の実証実験が始まってほどなく、市民からの喜びの声が多く寄せられたという。
 「リピート率も高く、運用開始後半年ほどで100回以上ご利用いただいた利用者もいるほどです。私たちが思っていた以上に喜んでいただけています。コールセンターでは、利用予約だけでなく、アプリの使用方法のレクチャーなどにも対応してもらっています。それも市民のみなさまからの高評価につながっているのではないでしょうか」(竹川氏)
 効率的な運用が可能になったことで、利用者の支払うコストも最小限に抑えられ、手ごたえも感じているという。デマンド交通は少人数・短距離の移動に適しているため、市の懸念事項だったタクシー事業者や既存の市民バスとのすみ分けも見えはじめている。

 「アプリの利用率がなかなか向上しないのを受けて、市内のドコモショップさんで講習会を開いていただくなどして、アプリ利用の促進も助けていただいています。市民にとって馴染みのあるショップに頼れるというのはドコモさんの強みでもありますし、私たちにとっての安心材料でもあります。そのサポートのおかげもあって、アプリの利用率も徐々に向上しつつあります。また、Via社のシステムはAIの活用で利用者に応じた最適なルートの策定などもできると聞いています。もっと多くのデータが集められるとさらに効率が高まるのではないかと期待しています」(竹川氏)

実証実験で市内を実際に運行した車両と乗降ポイント標識
実証実験で市内を実際に運行した車両と乗降ポイント標識

 運用コストも従来の約半分に抑制でき、財政面での負担も心配していたほどではなかった点も、市としては評価のポイントになった。
 「山梨市はこれまで、市民のQOL※を向上させるような取り組みを積極的に行ってきました。一方で他の地方都市と同様に高齢化は待ったなしで進行しています。そうした情況の中で、特に自動車の運転免許証を返納した高齢者の方々に、日常の交通手段を提供することは最優先事項と言っていいでしょう。今回のデマンド交通の実証実験では、実験段階ではあるものの、利用者からは『使いやすい』との声を多くいただきました。高いリピート率もあり、市民のニーズにマッチしていることがわかりました。今後はアプリの使いやすさの充実や停留所の最適な配置などの課題をクリアしながら、本格導入に向けて検討を重ねていきたいと考えています」と山梨市長はデマンド交通に対する期待を述べました。

※QOL
「人生の質」「生活の質」と訳されることが多く、人々が生きる上での満足度をあらわす指標の1つ

山梨市長 高木晴雄氏
山梨市長 高木晴雄氏

展望

ICTの積極活用で
地域DXの推進に期待

 人口減少・高齢化に対応する公共交通の在り方を見出した山梨市。2025年3月で終わる実証実験を振り返って竹川氏は「実験の結果については大変満足しています。ドアツードアとまではいきませんが、自治体が提供するサービスとしては十分な品質だと思っています。病院や主要なスーパーなどへの移動の利便性も高まりました。ドコモビジネスソリューションズ(以下、ドコモビジネス)さんの対応は、質問に対する回答もスピーディーでしたし、多数の自治体の知見に基づいているという安心感がよかったと思っています。こういった安心感は自治体にとって欠かせない評価ポイントの1つです」と語る。
 山梨市では、持続可能な公共交通をめざし、今後もさまざまな取り組みを進めていくという。「今回の実証実験で得たICTの可能性という知見を活かして地域全体のDXを進める機運も高まっていくと思います。居住者が市の面積の20%弱のところに集まっているということから、コンパクトシティのような取り組みにも挑戦できるかもしれません。

また、山梨市では全国に先駆けてオンライン訪問診療車を導入済みです。医師が訪問することなく映像を通して診察できるため、患者さまの移動のストレスを軽減するとともに、外来診療の混雑緩和も実現できています。これからも医療や福祉、教育の分野でデジタル技術を活用し、地域の発展に貢献していきたいと考えています。ドコモビジネスさんとは今後ともあらゆる分野で協業していきたいですね。」と、山梨市長は自治体とICTの融合に大きな期待を寄せている。
 山梨市長や竹川氏の声に対して齋藤は「今回の実証実験はビジネスではあるのですが、山梨市さまとドコモビジネスとで課題やビジョンを共有させていただくことで、パートナーとして『ドコモビジネスに任せれば安心だ』といった信頼感や良好な関係性を今後も築いていきたいと考えています」と答えた。

山梨市役所 外観

山梨市

組織概要:
総面積289km²。日本有数のワイン生産地で、歴史的な建造物や温泉施設も充実。笛吹川フルーツ公園や根津記念館など、文化と自然を同時に楽しめる。
URL
https://www.city.yamanashi.yamanashi.jp/

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