導入事例

ロゴ:獨協医科大学病院

スマートフォン導入によりDXを加速し業務を効率化
導入効果を実感しつつ看護の質向上を図る
導入の目的:医療DX、業務効率化

関係者の集合写真。
課題
  • ●スタッフの働き方改革
  • ●医療DXの推進
対策
  • ●第一フェーズ:看護師の働き方改革でAmiVoice iNote Lite®を利用するためiPhoneを導入
  • ●第二フェーズ:PHSからiPhoneへリプレイス
    iPhoneを内線電話として利用開始。CareRings Contactを導入
効果
  • ●AI音声認識「AmiVoice iNote Lite®」の導入によりカルテ入力を効率化
  • ●アドレス帳「CareRings Contact」の導入により人探しが容易となり、無駄な連絡の削減​
  • ●オフィスリンクにより、宅直の連絡が内線電話となり、スムーズな連絡体制へ移行​
展望
  • 医師、看護師、医療従事者までiPhone配布が完了したので、今後は効果的なアプリの採用、
    ガジェット連携などによりiPhoneを使いやすくし、効率的に業務に活用できるようにしたい

NTTドコモビジネスソリューションズ株式会社は全国のお客さまへ営業活動を行うNTTドコモビジネス株式会社のグループ会社です。

※2025年7月、社名変更により、ドコモビジネスソリューションズはNTTドコモビジネスソリューションズに、NTTコミュニケーションズはNTTドコモビジネスになりました。

課題

コロナ禍を好機と捉え、医療DX化を加速
看護師の負担軽減が最重要課題だった

 獨協医科大学病院は、栃木県県央南部の壬生町に位置し、1,195床を擁する北関東最大規模の病院である。同院では、2020年に第1回大学病院スマート化検討WGを開催し、PHSの後継機としてスマートフォンの導入が提言された。当時の課題について、医師であり、同院の経営にも携わる釜井隆男氏に伺った。

 「当時はコロナ禍でしたので、スタッフの命を守りながらどうやって収益を維持していくか頭を悩ませていました。当院は民間企業ですから、自分たちのことは自分たちでやっていかなければならないわけです。DXを推進していかなくてはならないという話は以前からありましたが、コロナ禍をある意味チャンスと捉え、一気に進めたというのが現実だと思います」(釜井氏)

 釜井氏は、DXを進めるうえでの最大の目的はスタッフの負担軽減だったと振り返る。

 「医師のみならず、看護部の負担軽減、特に超過勤務を減らしたいという課題がありました。病院機能を維持していく上では、看護師の負担軽減がいちばん重要だと考えています」(釜井氏)

 そして院内の電話環境を刷新するコンペを実施した結果、NTTドコモビジネスとNTTドコモビジネスソリューションズ(以下NTTドコモビジネスグループ)の提案が採用された。

獨協医科大学病院 泌尿器科 診療部長 釜井隆男氏
獨協医科大学病院 泌尿器科 診療部長 釜井隆男氏

対策

看護師の働き方改革の為iPhoneを導入
PHSからiPhoneへリプレイスし、オフィスリンクの運用開始

 NTTドコモビジネスグループを導入した理由について、同院の松島氏に伺った。

獨協医科大学病院 事務部 施設課 課長補佐 松島裕司氏
獨協医科大学病院
事務部 施設課
課長補佐 松島裕司氏

 「金額や無料通話時間、無料パケットなどを加味して決定しました。また、以前からPBX*1の管理をNTT東日本に任せていたこともあり、将来のオフィスリンク*2の導入を考えると、同じNTTグループの製品を導入した方がスムーズな連携体制が構築できると考えました。また、保守やアフターサービスを安心して任せられるという信頼関係が構築されていたことも大きかったですね」(松島氏)

 スマートフォン端末は、iPhoneを採用した。コスト面で勝るAndroid端末を採用しなかった理由について伺った。

 「iPhoneを採用するかAndroidにするかは悩ましいところですが、Androidはメーカーやバージョンによって操作性が大きく変わるため、端末が変わるたびにスタッフに使い方を説明する必要があります。その点、iPhoneは機種が新しくなっても、さらにOSのバージョンアップがあっても操作性があまり変わらないため、“操作教育の削減”が見込める事で、業務量の削減が見込めると判断し、導入を決定しました」(松島氏)

 NTTドコモビジネスソリューションズ(dBS)の宇佐見浩紀は、サービス導入に至った背景を語る。

NTTドコモビジネスソリューションズ株式会社 ソリューション事業部 栃木支店 第一グループ 第一チーム 主査 宇佐見浩紀
NTTドコモビジネスソリューションズ株式会社
ソリューション事業部 栃木支店 第一グループ 第一チーム
主査 宇佐見浩紀

 「獨協医科大学病院さまとは、長きにわたってお付き合いいただいておりました。導入に当たっては現場のニーズを把握した上で、専門チームによるデモを行い、効果を確認した上で本契約に進みました。栃木支店には大勢のメンバーがおりますので、各担当が協力して対応しました。」(宇佐見)

*1 「Private Branch Exchange」の略。院内の固定電話機を管理する構内交換機のこと。

*2 NTTドコモが提供する法人向けFMC(Fixed-Mobile Convergence)サービス。スマートフォンを内線電話として利用できるサービスのこと。

効果

アンケートの結果、約9割の看護師が業務効率化を実感
連絡が取れやすくなり、音声入力で電子カルテ記入も容易に

 現在では、約1,800回線のiPhoneが院内で稼働している。同院看護部に所属し、日光医療センターのDXにも携わった乾氏は、特に電話帳アプリケーションの「CareRings Contact®」の利便性が高いと指摘する。

獨協医科大学病院 看護部 看護部長 乾 寛美氏
獨協医科大学病院 看護部 看護部長 乾 寛美氏

 「これまではナースステーションの電話が鳴ったら、『●●先生が呼んでいます』とその人を呼びに行き、わざわざ戻って電話対応をしていました。今はCareRings Contact®を見れば誰がシフトに入っているかが分かるので、スタッフステーションへ電話する必要がなく、個人へ直接電話を掛ける事ができます。また、特定看護師や認定看護師との連絡が必要な場合などには今日の担当がわかるので、すぐに連絡を取ることができます。そして、不応答のときにはCareRings Contact®アプリ内でカスタムメッセージ(32文字まで)を残すこともできます。特に便利だと感じるのは病床管理センターとの連絡が効率的にでき、ベッドコントロールが円滑になりました。朝の9時台、10時台は電話がつながりにくかったのですが、カスタムメッセージを残せるようなったことで不応答が減り業務がスムーズに進むようになりました」(乾氏)

 実際に、導入前と比較すると電話の不応答率は約6.1%削減されたとのこと。また、看護師を対象とした院内アンケートでも、約85%が連絡業務の改善を実感し、さらに約83%が電話のための院内移動が削減されたと感じているという結果が出ている。

 また、AI音声認識サービス「AmiVoice iNote Lite®」の導入効果も大きいと、同院の遠藤氏は述べる。

獨協医科大学病院 看護部 師長 遠藤祐紀子氏
獨協医科大学病院 看護部 師長 遠藤祐紀子氏

 「AmiVoice iNote Lite®は私の担当するエリアから導入を開始しました。スタッフの中には人前で話すことに抵抗がある方もいたため、まずは私たちが積極的に使っている姿を見せていこうと思い、スタッフステーションでも極力、音声入力をしていました。たとえばエス(患者の訴え)は、数時間後に入力すると正確さに欠けることがありますが、AmiVoice iNote Lite®を使えばベッドサイドでそのまま入力できるので、より正確に記録することができます。認識率も上がってきましたので、音声入力後、少しの修正で電子カルテへの記入ができるようになりました。また、『AmiVoice iNote Lite®』を使えば、撮影した写真をそのまま直接電子カルテに送信することもできます。たとえば床ずれの写真を電子カルテに挿入したい場合、これまではデジタルカメラで撮影して、PCにつないで、電子カルテに送信していたものが、ボタンをスライドするだけで送信することができます。画像もきれいですし、情報を素早く伝えることができるようになりました」(遠藤氏)

 前述のアンケートによれば、約87%が業務効率化を実感していると言う。そのほか、各種マニュアルを電子化してスマートフォン内に保存しておく、Teamsを利用してWeb会議を開催する、AmiVoice iNote Lite®を活用してカンファレンスなどの議事録を作成するなど、活用を拡大している。

 同院の統計によれば、看護部全体で1日にかけられる電話は1,300回に及ぶという。従来では、電話ができるステーションまで移動し、番号を検索して電話するまでの時間を1分掛かっていたと仮定する。それに対し、その場でiPhoneを使って電話をかけるまでの時間を10秒と仮定すると、その差は約16時間の時間短縮が図れたことになる。また、電話を掛けるためナースステーションまで行き、元の場所へ戻る距離を平均30mとすれば、1日あたり39.9km分の歩行距離が削減されたことになるという。こうした数字からも効率化が確認できるであろう。

取材風景
取材風景

 さらに、iPhoneの活用方法について松島氏は、緊急コールについて、緊急時に慌てていてもすぐに電話をかけたいといった要望が看護部からあがり、iPhoneのショートカット機能を活用してワンタップで発信できるよう提案をした。また、院内で携帯しているマニュアル冊子についても、BOOKアプリに保存することで冊子の携帯を廃止にし、看護師のポケットの中身の軽減につながった。有料アプリも利用しているが、iPhoneのデフォルトアプリを最大限活用して、業務効率化を図ることで、コストメリットを出していけるよう、現場の声をできるだけ聞き入れ、日々試行錯誤している。

取材風景
取材風景

展望

両手を使えるようにハンズフリー化を図るなど
もっと便利にスマートフォンを活用していきたい

 最後に、今後の展開について伺った。釜井氏は経営への活用を述べる。

 「本来、病院外からも電子カルテにアクセスできるようになると医師も看護師も楽なのですが、現時点では難しい。むしろこれからは患者さまのデータを直接経営に生かせるようなシステムを構築したいと考えています。たとえば、現在は入院中のコスト計算は病院の中の別部署が担当していますが、DXが進み、健康面のみならず経済的なコストまで算出できるようになれば、患者さまにとってのメリットになるのではないかと思います。そのためにはすべてのデータをデジタル化する必要がありますが、その基盤となる通信の安定性を確保してくれたdBSさんには感謝しています」(釜井氏)

 松島氏は、各ガジェットとの連携を目指している。

 「現在はトランシーバーアプリやヘッドセットのトライアルを進めています。イヤホンマイクを利用すると、電話がかかってきても片手が塞がる事がなくなり、手を止めることなく業務を継続できます。医療従事者にとって両手が空くという事は大きなメリットだと思います。特に看護師は両手を使う仕事が多いので、効果的なのではないでしょうか。」(松島氏)

 看護部においても、iPhone導入による効率化で得た時間を有効に活用しようという動きがあるようだ。

 「アンケートを通じて、ほぼ全員が業務の改善、効率化を感じているということが分かりました。看護部だけではないですが、規模が大きい中でiPhoneが全員利用できる環境にしていただいているのは、自分たちが大切にされていると感じています。病院での実習や、就職説明会の参加者からも「DXが進んでいるこの病院で働きたい。」との声が多く聞かれています。現時点では私たち自身が効果を実感するというところにとどまっていますが、今後は看護の質を高めて患者さまにも還元できるようなところまで持っていきたいと考えています」(乾氏)

 「同様に、患者さまとの関わりが私たちの役割だと思っていますので、iPhone導入により削減できた時間を、患者さまのもとに行って会話したり、ケアしたりするなど、看護の質の向上に役立てたいと考えています。また、効率化により早く帰宅できるようになったことで、自分たちの生活を充実させ、モチベーション向上につなげられればいいなという期待もあります」(遠藤氏)

 こうした要望に対し、dBSも全力で支援する構えだ。

 「弊社では無料のソフトウェアから有料のソフトウェアまで、幅広いソリューションを扱っています。現在はトランシーバーアプリのトライアルを実施していただいていますが、ほかにもお役に立つ商材がたくさんありますので、引き続き獨協医科大学病院さまのDXに貢献できるように取り組んでいきたいと思っています」(宇佐見)

 「本取り組みは、前任の方含め4年以上にわたり検証と改善を積み重ね、医師の皆さまを含めた大規模導入へとつながりました。引き継ぎ当初は不安もありましたが、獨協医科大学病院の皆さまの柔軟かつ前向きなご対応に支えられ、本プロジェクトを無事に推進することができました。病院DXのモデルとして、今後も引き続きお力添えをさせていただければ幸いです。」(前担当者:小林)

 同院でのスマートフォン活用は注目を集めており、見学会を実施するなどの取り組みも行われている。今後、獨協医科大学病院のスマホ活用方法がモデルケースとなり、全国の病院さまに展開されるようになるかもしれない。

獨協医科大学病院 外観

獨協医科大学病院

組織概要:
1974年に栃木県壬生町に開院。大学医学教育の場として医師を要請するとともに、「医療倫理の徹底」「高度で良質な医療の提供」「医療の進歩への貢献」「連携医療の構築」「良質な医療人の育成」の5つの理念を掲げ、特定機能病院として地域医療の中核を担う。2025年4月1日現在で1,195床と、私立大学の単体病院としては全国トップ3に入る病床数を誇る。関連病院は獨協医科大学日光医療センター、獨協医科大学埼玉医療センター。
URL
https://www.dokkyomed.ac.jp/hosp-m/

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